2013年8月11日日曜日

人間であることは芸術家であること

先週「これから世界は、全ての人々が芸術家であらねばならないことを要求される社会に移行する」などと書きましたが、その真意などをもう少しまとめてみようと思います。

某ブログでクラウドソーシング関連の話題が書かれていました。
一つ一つはすでにいろいろなところで聞いた話ではあるのだけど、こういう話題をひとまとめにして振り返ると、今の常識との落差に大変驚くのです。
もはや、国内の法律とかが追いつかないくらい、ネット上で世界の平均化が進行していきます。ネットの世界では流行り始めるとあっという間に拡がりますから、いまはまだそこまで行っていなくても、遠くない将来クラウドソーシングが世界中に拡がるものと思われます。

これは、特に日本の会社に良くあるように、生産性が低くても何とかなっていた仕事文化に大きな打撃を与えるはずです。
この打撃というのは、組織への忠誠、隷属とか、目立つことを良しとしない文化とか、コツコツと同じことを実直に続けることの美徳とか、金儲けを嫌う風潮とか、そういう我々のメンタリティに修正を迫るようなことを意味します。

上で挙げた我々日本人のメンタリティは、基本的に全て個人が芸術的に生きることを阻害させるようなことばかりに思えます。
芸術家は組織が嫌いですし、不条理な組織のルールを守ることが耐えられません。
芸術家は自分という人間が広く知られることを願います。もちろん、自分の得意とする分野においてです。
また、芸術家は絶えず新しいことに挑戦し、同じパターンを延々と続けることを良しとしません。
ただ、芸術家はお金儲けは苦手ですし、無頓着だったりもします。

しかし、クラウドソーシングの話は,一つの取っ掛かりに過ぎません。
ネットが世界中に拡がり、世界の情報がいつでもどこでも簡単に手に入れることが出来るようになった未来では、情報の落差でビジネスをするような仕事が減っていきます。
また、公的機関(政府機関)の存在意義がだんだん失われていき、国独自の仕事とか、市場とかがどんどん小さくなっていくことでしょう。

そのように、情報の落差や特定の地方で通用するルールの運用で仕事をしていた人たちが減っていくと、結局最後まで残る最も重要な仕事とは、イノベーションを起こし、絶えず世の中に新しい価値を提供するような仕事です。
そして、それはまさに日常的に芸術家が行なっていることでもあります。


もちろん、世の中から単純作業が全て無くなるなんてことも起きないでしょう。
しかし,そういった仕事は明らかに底辺の仕事であり、高給を取れるような仕事でないことは確かです。
全ての人々が芸術家的な生き方をすることは大変なことのように思えます。
しかし、人には誰でも得意なことがあるはずですし、それを磨くことでクリエイティブな仕事を、フルタイムでないにしても、行なうことは可能ではないでしょうか。

いろいろな反論もあるかと思います。
私自身も、ここで書いたことにロジカルな裏付けがあるわけではありません。
しかしIT技術の発展は、人々から単純作業をどんどん奪うことは確かです。奪われた人々が自分の意志で得意分野を探し、その世界を掘り下げることでクリエイティブな仕事が出来るようになる素地が形成されることは可能ではないかと思います。

人は本来芸術家である、というのも私の信条です。
その心を忘れずに保持し続け、自分をクリエイティブな世界に持っていこうと努力した方には、これから良い世界が待っているかもしれないのです。

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