2008年11月29日土曜日

演奏会のCDを作ろう 補遺

CDを作る際の注意点などを補足します。

●音声データのファイルフォーマット
PCで扱う場合、圧縮フォーマットの mp3, AAC, WMA などがありますが、せっかくCDを作るのだから、CDと同じ非圧縮の WAV フォーマットを使ったほうが良いでしょう。波形編集も結果的にそちらのほうが楽に扱えると思います。
ですから、iTunesで音を取り込む時もWAVエンコーダ指定にし、Audacityで録音する時も、ファイルをセーブするときもWAV指定します。WAV指定でさらに細かく設定出来る時は、16bit, 44.1kHzにすればCDと同じになります。

●編集時の音量設定
アナログ録音するとき音量設定が高すぎると、音量が大きいときにデジタル歪みが起こり、大きなノイズになってしまうので、一番音が大きい時が最大レベルになるようにレベルを調整してから録音を開始します。
また、全部デジタルデータになってから音量を上げる場合、演奏会全体の音量を上げるべきです。特定の曲の音量が小さいからと言ってその曲だけ音量を上げると、続けて聞いたときに違和感を感じてしまいます。

●拍手のフェードアウト
演奏会の雰囲気を出すために拍手も入れたい場合もあるでしょう。その場合は適当なところで切り上げてフェードアウトさせると聞き易いCDになると思います。

●自分で演奏会を録音する場合
先週も書きましたが、音楽用のICレコーダが各社から発売されています。一台で高性能なマイクとデジタル化、データ保持が可能で、しかもすごく小さい。音楽家なら一台は持つべきアイテムです。これがあれば小さな演奏会の録音もこれ一台でOK。
でも間違って、会議用の安いやつを買わないように。ステレオのしっかりしたマイクが先頭についていて、少なくとも16bit, 44.1kHz以上のスペックで(非圧縮のリニアで)録音できる必要があります。

●CD-Rは保存版になり得るか?
以前は保存メディアの決定版としてDATを利用していましたが、久しぶりに聞いたとき転写で音がおかしくなっていてショックを受けたことがあります。
CD-Rも光などに弱く、何年も保たないとも言われています。せっかく作ったCDも十年後に聞いたら壊れていたということも十分あり得ます。
そうなると、正直保存版とは言えないでしょう。出来れば、CDをもらったらiTunesなどでパソコンに取り込んでおくことをお勧めします。ハードディスクをきちんとバックアップしておけば、CDがダメになってもまた作ることは出来ますので。

2008年11月26日水曜日

演奏会のCDを作ろう 3

ここまで書いて、フリーウェアをインストールってだけで、億劫になってる人もいそう。この辺りがパソコンを使いこなそうと思うか思わないかの分かれ目なのかもしれませんね。

では、実際の手順をざっと書いてみます。
[1]パソコンに音を取り込む
・MDやテープをもらった場合は、アナログ経由で録音。ラジカセのLine OutをパソコンのLine Inに繋いでラジカセで再生。パソコンではAudacityを立ち上げ録音ボタンを押します。取り込むのに演奏会の時間分はかかりますね。
・最近だと、ホールでの録音で直接CDを作ってくれることもあります。もちろん、録音は曲毎には分かれていませんから、一度iTunesを使ってCDを取り込みます。このとき、iTunesの環境設定で読み込み設定をWAVエンコーダにしておきます。
・ICレコーダの場合はもっと簡単。USBに繋いで、ファイルをコピーするだけ。特に演奏を自分で録音したいという方は、音楽用ICレコーダは必需品。今なら4万円以下で十分なものが買えるはず。

[2]取り込んだ音を曲毎にファイルに切り出す
・取り込んだ音をAudacityで読み込みます。音データが波形で表示されるので、それを見ながらどこが曲の部分か拍手の部分か見当をつけます。任意の場所でクリックすれば、そこから音は再生できます。
・切り出す部分をマウスでドラッグして指定。その後、ファイルメニューから"Export Selection As Wav..."を選ぶと、その部分だけファイルとしてセーブ出来ます。
・好みに応じて、音量を変えたり、フェードアウトさせたりして切り取ったファイルを編集します。

[3]CDに書き込み
・上で作った各ファイルをiTunesに読み込ませます。ファイルメニューの"ライブラリに追加"で、iTunesに取り込みます。
・CDに焼きたいファイルを一つのプレイリストに集めます。後は空きディスクを入れて、右下の"ディスク作成"を押せば、CDが作成出来ます。

いろいろ端折っていますが、私の場合だいたいこんな手順でCDを作っています。

2008年11月22日土曜日

演奏会のCDを作ろう 2

さて、CDを作るために、パソコンに録音したり、曲毎にファイルを分けたり、場合によっては音量を変えたりフェードアウトしたり、といった作業をする必要があります。
そのための私が使っているフリーのソフトを一つ紹介します。
Audacity(オーダシティ)という音の編集ソフトです。
Windows、MacどちらもOK。ダウンロードページはこちら
洋物のソフトですが、結構有名らしく、日本語でもあちらこちらに説明ページを発見できます。お助け講座というのもありました。ここでいろいろ書こうとしたけど、お助け講座を見る方がよほど分かり易そう。

このソフトで嬉しいのは、これ一本でパソコンへの録音、曲単位の切り出しが簡単に出来ること。その気になれば、音量を上げたり、フェードイン/アウトしたり、イコライジングしたり、ノイズを取ったりできます。さらに残響を加えたり、エコーを足したり、ピッチを変えたり、なんていう加工も出来ちゃいます(ただしCDを作るときに使うのはやめましょう)。

以前他のソフトを使っていた時は、編集の動作が異常に遅かったり、使い勝手が悪かったりしたのですが、このAudacityは、動作も機敏で波形をドラッグするだけで簡単に選択できたり、任意の場所から簡単に再生できるのでスゴく便利。
波形を時間軸方向に拡大、縮小もすぐにできて、やりたいことをすぐ出来るアクセシビリティもなかなかのものです。
いろいろな機能があって、実は私自身も使いこなしているとは言えないのは確かですが、これをインストールしておけば音を扱うのにいろいろ便利ですよ。

2008年11月20日木曜日

演奏会のCDを作ろう

もともと私の音楽活動にパソコンは欠かせなかったので、パソコンで音を扱うことに人より慣れていたとは思います(もちろん仕事柄というのもありますが)。そんなわけで、ずいぶん昔から、合唱団などの演奏会のCD製作係をやるハメになっています。
ところが、昔と違って、今どきのパソコンならたいていのドライブはCD/DVDの書き込みが出来るので、もはや誰でもCDが作れるはずなのだけど、それでもちょっと敷居が高いのか、皆さんなかなか自分でCDを作ろうとは思わないようです。
ちょっと苦労して覚えれば、パソコンってほんとにいろいろなことが出来て便利なのにね〜。
というわけで、皆さんのパソコンリテラシー向上のため、どうやってCDを作ったらいいのか、私なりに解説してみましょう。

大まかに言うと、CDを作るまでの流れは以下のようになります。
1.パソコンに音を取り込む
2.取り込んだ音を編集し、トラック毎にファイルを切り出す
3.生CDにファイルを書き込む

ちなみに3に関しては、たいていパソコン購入時に、おまけで生CDにファイルを書き込むソフトが入っていると思うので、それを使えば焼けます。そのくらいは調べてみて欲しいなぁ。
あるいは、iTunesにもCDを焼く機能がありますから、今後パソコンで音楽データを管理することと併せて、iTunesをインストールしておくことをお勧めします。Appleのサイトからフリーでダウンロードできます。
��続く)

2008年11月15日土曜日

上原ひろみのライブDVD

Hiromidvd上原ひろみのライブDVD("Live in Concert")2枚購入。
いずれも、上原ひろみ初めてのライブDVD。一つは"Spiral"のツアーのトリオ編成のもの、もう一つは"Time Control"ツアーの4人編成(Hiromi's Sonicbloom)のもの。
ジャズの場合、CDでは5分の曲もライブでは10分とか15分とかになるし、ライブならではのハイテンションな演奏も聴けるし、そして同じ曲でもCDとちょっと味付けの異なった演奏になったりするので、CDを聴いているだけではどうしても物足りなくなってしまい、ライブDVDが出るのを本当に心待ちにしていたのです。

あのライブでの感動再び、ということで、ようやく見れましたよ。ライブならではの激しい演奏。
それに奏者に近い位置でのカメラアングルもあって、演奏の指使いから、楽器関係の細かいところまで見れるのはファンとしては何ともうれしい限り。アイコンタクトによる、シビアなアンサンブルの妙なんかもたまりませんね。
もとより、私はトラディショナルなジャズはそれほど興味はなく、ジャンルの垣根を飛び越え、奏者の超絶技巧をベースにした最先端の音楽の一つとして上原ひろみを聴いています。
そんな私を大満足させてくれるDVDとなるでありましょう。

2008年11月9日日曜日

レッドクリフ Part1

話題の大作映画、レッドクリフを観ました。
三国志の「赤壁の戦い」を映画化したもの。ジョンウー監督、トニーレオン、金城武など俳優陣も豪華。
私は三国志は全く詳しくないものの、映画の最初に時代背景の説明があったり、そもそも映画の人物造形が比較的分かり易くしてあったため、全体的には非常に明快な内容です。恐らく、事前知識必要なしで観れます。

続編が来年四月にあり、本当の「赤壁の戦い」はそっちで描かれることになります。今回は、さあ戦いだ!というところですっぱり終わります。そういう意味ではこの映画単体では、映画にはなっていないと言えるかも。
しかし、三国志全体が持つ雰囲気とか、各武将たちのキャラクターなどがうまく表現されていて、何となく親近感を感ずることが出来ました。どちらかというと、正確な歴史考証よりも、エンターテインメントを優先している感はありましたけど。

特にそれを感じたのは音楽。
登場人物が笛を吹いたり、琴を弾いたりするシーン。いずれも2〜3世紀の中国とはとても思えない現代的な音楽が鳴っていて、いやあ、こりゃ大胆だなあ、と感じました。
笛のメロディなんて完全に西洋音階の今どきの旋律だし、琴を弾くシーンなんか、フラメンコギターとかチョッパーベースを弾いてるみたいな激しさ。いやまあ、そこに正確な時代考証を求めるわけじゃないですが・・・。
ちなみにこの映画の音楽は、岩代太郎だそうです。

2008年11月8日土曜日

アンジェリカの作品公募

松下耕氏率いる女声合唱団アンジェリカが演奏会で初演する作品を公募しており、性懲りも無く応募をしていたのですが、その結果が出ました。
詳細はこちら。

というわけで、最優秀はならなかったものの佳作を頂くという、嬉しいような、でもちょっと残念なような微妙な結果と相成りました。
ただ、初演の可能性があり、とのことなので、これについては期待をしたいと思います。

しかし、今回の合唱団の初演作品を公募するという試みは大変面白いものだと感じます。
もちろん、作曲コンクールとしての体裁もあるのですが、同時に初演の保証があり、譜ヅラだけの技術でなく、奏でられる音楽として評価してもらえるという期待があるからです。(朝日作曲賞では公開された初演もされませんし)
これは選ぶ側にもそれなりの覚悟が必要なはずで、そういう意味で最優秀作品、それから優秀作にも多いに興味が湧いてきます。

とはいいつつも・・・最優秀は、山内さんなのですね。三年前の朝日作曲賞のデジャヴか。

2008年11月4日火曜日

クロチェット第二回コンサート

今日、遠州栄光教会にてクロチェットの第二回コンサートがありました。
前回同様、私は裏方として録音、写真と、チェンバロの搬入、搬出係をやりました。
今回は、チェンバロといっても生ではなくて、R社の電子チェンバロを使用。金曜日はそれを借りるために浜名湖畔のR社まで楽器を取りに行きに。正直、商売敵としては、こういった楽器が開発できる社風がちょっぴり羨ましく感じます。

前回は生のチェンバロを搬入するのに数人がかりで大変な苦労をしたわけですが、そこはやはり電子モノの利点で、非常に簡単に設置が済みました。音に関しても、そもそもチェンバロは大音量の楽器ではないので、電子楽器で利用してもほとんど違和感はありません(別にキーボードアンプは用いずに内蔵スピーカのみで演奏)。
私が言うのもなんですが、特に古楽関係の人たちにはお勧めの楽器だと思います。

さて肝心の演奏ですが、やはり古楽の雅な趣きと教会の深い残響がとてもマッチしていて、なかなか良い雰囲気の演奏会になったと思います。全体的には非常にシブい選曲だったのは確かですが(というか古楽だと何をやってもそうなるのだろうけど)、編成の変化もありお客も楽しめたのではないでしょうか。
今回もアンコールで私が編曲した某カノンを演奏しましたが、なんかこの曲だけ異質だったかも。

打ち上げでも話題になったのだけど、クラシック音楽の静謐な響きを楽しもうとしているところに、どかどかと来てフラッシュを焚きながら写真を撮っていく新聞社のデリカシーの無さは何とかならないもんでしょうかね。これでは、地域文化の担い手などとは誰も思ってくれなくなりますよ。

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