2008年12月30日火曜日

今年劇場で見た映画08篇

気がつくと、今年は随分たくさんの映画を観てしまいました。これじゃ何だか映画オタクみたいですね〜。でも来年はいろいろと忙しいので、今年ほどは観ないはず。
ということで今年も、私が劇場で観た映画を紹介します。

魍魎の匣
ナショナルトレジャー
AVP2
シルク
スウィーニートッド
歓喜の歌
チームバチスタの栄光
パンズラビリンス
ジャンパー
うた魂
フィクサー
紀元前一万年
ラフマニノフ~ある愛の調べ
ミスト
ラスベガスをぶっつぶせ
人のセックスを笑うな
ザ・マジックアワー
インディ・ジョーンズ
アフタースクール
ぐるりのこと
ハムナプトラ3
ダークナイト
デトロイトメタルシティ
20世紀少年
グーグーだって猫である
ウォンテッド
アキレスと亀
アイアンマン
容疑者Xの献身
イーグルアイ
幻の邪馬台国
レッドクリフPart1
ハッピーフライト
1408号室
おくりびと
K-20怪人二十面相・伝

今年、私が面白いと思った映画は、パンズラビリンス、ダークナイト、アイアンマンといったところでしょうか。

2008年12月28日日曜日

鼓童、上原ひろみ

12月にアクト大ホールで行われた二つのコンサートの備忘録。

●12/17 鼓童 十二月公演2008
鼓童は私が現在追いかけてるアーティストの一つ。一般的イメージとしては、ふんどし一丁の男が大太鼓を力強く叩くマッチョなパフォーマンスという印象があると思います。確かに、それも最後の見所としてちゃんと演目にもあるわけですが、彼らの守備範囲は実はもっと広いんです。
今回も、太鼓を中心とした打楽器だけでなく、笛、琴、胡弓、そして歌、と古来の伝統的な楽器を駆使した幻想的で懐かしさ溢れる音楽が展開されました。
恐らく彼らのパフォーマンスを見て、そのアンサンブル力や演奏技術だけを礼賛するのは、一面しか見ていない見方だと思います。
彼らの演奏からオリジナリティとか、アイデンティティといったレベルのアーティスティックな一面を非常に重視していることがわかります。常に才能のある団員がオリジナル曲を作曲、披露し、音楽だけでなく、所作やステージングの端々までにこだわりを持って一つの舞台空間を作っています。
まさにプロの仕事。アマチュア音楽家はどうしても技術的な面だけをフォーカスしがちですが、最後に人の心を揺さぶるのは芸術としてのトータルな個性、姿勢だということを、あらためて実感したのです。

●12/24 上原ひろみ ビヨンド・スタンダード日本ツアー
同じく私の追いかけているアーティストの上原ひろみ。
今年は先行予約のほぼ初日にチケットを取ったせいか、前から6列目でかぶりつき状態。もちろん、期待に違わぬ素晴らしいコンサートだったのですが、かなり前の席だったこともあり、むしろいつもより4人のバンド演奏を冷静に聴いていたような気がします。
今回は結構アンサンブルの乱れも(というか間違いを)いくつか気がついたり、Nord Electro (上原ひろみが弾くキーボード)故障というハプニングにムッとしている上原ひろみを見られたり。
前半は最新アルバムの曲が中心で、演奏も音数が少なく比較的シブい感じ。いつものノリノリ感が薄いなあと思っていたら、後半に向かって盛り上がっていきました。敢えてそういう展開にしたのかもしれませんが。
後半では、みんなで上原ひろみのお祖父さんの90歳の誕生日を祝ったり(スポットで客席にいるお祖父さんが照らされる)、アンコールでは今、別にツアーをしているタップダンサー熊谷和徳がゲストで登場。思わぬ展開にお得感満点。これも上原ひろみの出身地浜松故のサービスなんでしょうか。

2008年12月27日土曜日

現代の音楽展2009 唱楽III

来年の2月1日に東京文化会館小ホールにて「現代の音楽展2009 唱楽III〜現代児童合唱の領域」という催しが行われます。
この演奏作品を公募していたのですが、幸い拙作が採用され、演奏して頂けることになりました。チラシなどを頂いてようやく演奏会の全貌がわかりました。チラシはこちら

ということで、今回の演奏会では、NHK東京児童合唱団、多治見少年少女合唱団を迎え、全7曲の児童合唱曲が演奏されます。そのうち初演は3曲。間宮芳生、一柳慧、野平一郎といった超メジャーな方々の曲目の中に拙作が並ぶのは、何とも言えない感慨がありますね。

ちなみに私の作品は、二群の児童合唱のための「しりとりうた」、というタイトルです。
��分弱の作品で、もちろんアカペラ。まさにタイトルどおり、二群の合唱が交互にしりとりをする、というアイデアで書いた曲です。テキストは自分で作りました。

開演は14:00、全席自由の2500円です。
チケットを山ほどもらいました。どう考えても私にはさばききれませんので、近場の方で、もしご興味がありましたらメールなどでお知らせください。チケットをお送り致します。

2008年12月23日火曜日

アカペラスクエアご来場ありがとうございました

思いのほか多くのお客様に恵まれて、大変楽しく歌うことが出来ました。
そもそも私の魂胆としては、どうせ他の団は宗教曲が多いだろうから逆方向で印象付けよう、という気持ちでシェーファーの練習を続けてきたわけですが、実際聴いてみるとどの団もそれぞれ持ち味があって、本当に甲乙つけ難いのです。選曲的にも雰囲気的にもバラエティにとんだ演奏会だったと感じました。多分ジョイントということで、お互いいい意味で競い合うように練習してきたのだと思います。
今回私もマネージに加わりましたが、やはりいくつかの団が集まって何かをやるのって大変。合同の並びを決めるのだけでもずいぶん苦労していたみたいだし。それでも、実行委員会は比較的近しいメンバーだったので、うまくいったのかもしれません。

ちなみに今回の演奏会では、幕間の余興の"White Christmas"、アンコールの"Silent Night"の編曲をやらして頂きました。White Christmas の演奏はちょっとヤバかったですが、アンコールでは大人数で歌ってもらえて嬉しかったです。

2008年12月21日日曜日

K-20 怪人二十面相・伝

アメリカ映画のヒーローものと言えば、スーパーマン、スパイダーマン、バットマン、最近ならアイアンマンといった、たくさんの面白い映画があるわけですが、なかなか邦画ではその系統の映画がありません。このK-20は、そういう状況に真正面から挑戦した映画と言えるでしょう。
時代や社会状況などの舞台設定はなかなかいいと思います。全体的なストーリーも思いのほか練られています。ヒーローものの定石である、ヒーローになるまでの訓練シーンとかも、いい感じだと思いました。この手の映画のポイントであるガジェットへのこだわりなんかも、結構気に入りました。

ただ、各シーンの台詞のやり取りがどうにも甘いのです。
最近の邦画の面白さに比べると、正直質は低い感じ。ちょっとひねりの利いたギャグの後で、「このギャグの面白さはねぇ」といって丁寧に説明されているようなダササが各所にあって、もっとスマートに説明をさばけないものかと思います。役者の演技も、意図の強調具合がいささか過剰。
特に最後のシーン、思いがけない展開があるのだけど(予期出来ないでもないが)、その後に「実は、あれは○○だったのさ」みたいな説明をされると、小学生向けヒーローもののような幼稚さを感じずにはいられません。

いい意味でアメリカヒーローものの影響を受けていて(冒頭のタイトルロールはスパイダーマンのマネ?)、こういったジャンルも洗練されつつありますが、もう少しディテールに拘ると人間ドラマに深みが出てくるし、その結果シリーズの独自性も生まれてくるのではないでしょうか。
もしかしたら続編もあるかもしれないですね。

2008年12月17日水曜日

次の日曜日、アカペラスクエアです

��年以上前より準備していたジョイントコンサート「アカペラスクエア」がいよいよ次の日曜日に迫ってまいりました。宣伝用ブログはこちら

少人数合唱団ゆえ、なかなか自前で演奏会する余裕も無く、それなら同じ境遇の団が集まってジョイントコンサートでもやろうか、というのが元々の魂胆。
各団ステージだけでなく、合同ステージでは岸先生の指揮で武満徹の「うた」から4曲を歌います。

各団の演奏はまだ一度も聞いていませんが、曲名だけ見るとコンクールとかで聴くような、昨今の少人数用アカペラレパートリーが目白押しで(ウィテカー、オルバン、カライ、ラクール、コチャール、ブスト・・・)合唱マニアの方にはとても楽しめるコンサートではないでしょうか。
逆に浜松くんだりで聞く一般的な合唱コンサートとはかなり趣きが違うでしょうねえ。

ちなみに、私はヴォア・ヴェールのステージにて、シェーファーの"Felix's Girls"を指揮します。合唱エンターテインメントを私なりに追求したステージにしたいと思っています。
まだまだやり残したと思うことは数あれど、何とかお客様が楽しんでもらえるような演奏を目指したいと思います。
浜松近辺の皆様、まだ週末のご予定がなければ是非ご来場ください。
12/21日 p.m.2:00〜 浜松アクトシティ中ホールです。

2008年12月13日土曜日

楽譜を読む

当たり前だけど、演奏するためには、まず楽譜を読まねばなりません。そして、楽譜に書いてあることを咀嚼して、解釈する必要があります。それに演奏者自身のフレーバーを加えて自分たちのオリジナルの演奏にしていくわけです。
危険なのは、フレーバーを加えることばかりに注力するあまり、楽譜の解釈を十分にしないことです。それは曲を作った際の意図を歪めてしまうことになり、結果的には曲の良さが伝わらない独りよがりの演奏になる危険性があります。
では、どのように解釈するべきなのか?まずはテンポ指定を例に考えてみましょう。

最近のほぼ全ての曲にはテンポはメトロノーム指定があります。
これは完璧な絶対量なので、間違えることの無い明確な指標ではありますが、そもそも生演奏において、厳格に完全にテンポの揺れなく演奏することは不可能です。しかも、編成や演奏場所などにおいても容易にテンポは変化します。
しかし、だからといってテンポ指定は無視していいわけでは無いでしょう。
この時の視点として、まあ絶対指定の±10%くらいのブレはいいじゃない、とかそういう考えもありますが、個人的にはあまり感心出来ません。それは結局、テンポ指定の絶対性に依存しているからです。ブレの許容範囲値自体も、視点を変えれば絶対量と言えてしまいます。
そもそも、生演奏のテンポ設定に絶対量などあり得ない、というのが私の考えです。

大事なのは、そのテンポ指定の本質的な意味を考えて、曲全体で伝えようとしているイメージとテンポ指定をリンクさせること。それから、曲の流れの中でのアゴーギクを捉え、テンポの変化を相対的に捉えることだと思います。
最初の点は、このテンポでこの曲を歌ったら、こんな風なフレージングにならざるを得ない、というポイントを探すということを意味します。テンポによってメロディの流れ方も変わるし、息継ぎのタイミングも変わるはず。その表現はキープするべきなのです。逆に考えれば、その曲のイメージを損なわない範囲なら多少テンポを変えてもいいということになります。
次の相対的に捉えるという点。例えば、テンポ=96が、テンポ=88に変わったとします。これはテンポを遅くしたいという作曲家の意思が込められていると解釈できます。ですから、絶対的な数字を守ることよりも、その時点でテンポ感が変わったと感じるように明示的に演奏するべきでしょう。

演奏時の状況の違いで楽譜通りの絶対的テンポを守らなくても、上記の点をしっかり解釈して演奏するなら、作曲家が描いたテンポ設定からそれほど遠ざかることは無いはずです。
テンポに限らず、キーワードになるのは、なぜそのような指示をしているかの本質を考えること、それから曲の他の部分との相対的な関係を調べること、ということが曲の解釈には必要なことだと私は考えます。

2008年12月8日月曜日

シャングリ・ラ/池上永一

Syanテンペストを読み終わってから、池上永一の他の小説を読んでみようと思い、前作のこれも大作である「シャングリ・ラ」を読みました。
舞台は50年後の東京。温暖化の影響で熱帯化しつつある東京に作られ続ける空中積層都市「アトラス」。反政府ゲリラのリーダー國子を中心に、森林化政策を進める政府との戦いを描いた長編小説。ありていに言えば、SFですね。

一見重厚な内容かと思いきや、雰囲気はほとんどラノベ。テンペストもそうだけど、主人公はスーパー美少女。後半のドタバタはもはや何でもあり。どんだけやられても、なかなか死なないとか、もう死んだと思ってたのに助かってたりとか。まるで、小学生向けアニメ的な匂いを醸し出しています。それでも細かい描写に無駄に薀蓄が詰め込まれていたりするあたりが、ファンタジーノベル作家の面目躍如と言ったところでしょうか。
ちなみに、帯にも書いてありますが、2009年テレビアニメ化決定だそうです。どこまで子供向けにするか、微妙なところではあります。(國子の同士は、スタイル抜群のニューハーフという設定だし)

個性的なキャラを作って自由に、はちゃめちゃに遊ばしている、というような書かれ方なので、ストーリー展開そのものが技巧的というわけではありません。
それより、私はこの小説の世界観の設定に感心しました。経済は排出炭素ベースに変わり、そのマネーゲームの描写が執拗に描かれます。それを読んでいると最近のデイトレーダーの株取引を想起します。この設定を考えるだけで、筆者はかなりの経済マニアじゃないかと思ってしまいます。
それから、積層都市アトラスの発想も面白い。下から第一層、第二層・・・と都市が段重ねで作られた建造物。自重に耐えられるように、材料は全て炭素材で出来ているという設定。一つの層だけで数百メートルの高さがあり、上の層に行くとかなりの高度になるので温度は低くなります。物語ではまだ建設中という設定だけれど、最終的に十三層まで作られる予定。
こういった科学的、政治経済的、社会的設定のアイデアが面白くて、それだけでも一読の価値はあるかもしれません。来年、放映するアニメを見るかは定かではありませんが。

2008年12月4日木曜日

「ふりつづく思ひ」をPD合唱曲に追加

大手拓次の詩による「ふりつづく思ひ」を作曲し、PD合唱曲シリーズに追加しました。
楽譜はPDFでご覧頂けます。また曲もMIDIで聴くことができます。

編成は無伴奏の混声四部合唱、ディビジョン無しです。
全体的にメランコリックな楽想で、テンポもゆったりめ。
一見すると一様な曲調で、ややもすると単調になりがちですが、ディナーミクの変化を十分付けたり、ハーモニーの精度を上げるための練習曲として利用出来るかもしれません。
少人数アンサンブルで楽しんでもらえると嬉しいです。