2005年4月16日土曜日

新聞小説「讃歌」/篠田節子

新聞小説なんてこれまで読み続けた試しはなかったのだけど、今回、朝日新聞の新聞小説「讃歌」ついに読みきりました。本日の掲載が最終回。毎日読み続けていると、時間がなくてもここだけは読みたいという、そういう気持ちを経験することが出来ました。
それで、この小説、どんな話かというと、人の心を揺さぶるヴィオラ演奏家、柳原園子のドキュメンタリーテレビ番組を作る小野が主人公で、番組の放映から柳原園子がブレークし、クラシック界での異例のヒットとなる一方、園子に対して賞賛と批判が渦巻いていく、といった感じ。そして、ついに最後には園子が自殺して話は終わります。
最初の頃は、音楽の素晴らしさの描写がなんか陳腐な感じがしていたのだけど、それはどうも作為的だった感じがしてきます。つまり園子の音楽は、表情過多な日本的で演歌的な演奏なのだけど、クラシック界の正統的な批評家からは、彼女の音楽が演奏の基本も出来ていないような質の低いものと捉えられるわけです。
そこに、視聴率を稼ぎたいテレビ製作会社、CDを売りたい音楽事務所などの思惑が絡みます。小野はクラシックには縁がない素人という設定。だから、その小野が最初の段階で園子の演奏に心奪われるというのが、ある意味この小説の象徴的なエピソードになるのです。
いい音楽とは何か?こういった疑問を投げかけてくるなかなか味わいのある小説でした。作家の篠田さん自身も確か、弦楽器を練習されているとか。そうやって音楽のプロの世界を深く知れば知るほど、一般大衆との音楽の認知の乖離が生じてくる、その不条理がこの小説でよく表現されていると思いました。

4 件のコメント:

  1. はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。
     ・・・しかし、今回ばかりは読むべきでは無かったですね。
     「讃歌」! 実は私、まだ読んでいる途中だったのです!!
     朝日新聞を取っていない私は図書館でまとめて読むのを
    楽しみにしていたのですが~~~…そうですか・・・最後は・・・。
     せ、せめて単行本化になる時は違うラストになることを期待しましょう。
     篠田節子さんは「カノン」「ハルモニア」など、読者の音楽の見方を変えさせるような優れた作品を発表されていますよね。
     未読でしたら、こちらもぜひどうぞ。
     それではこれからも、更新を楽しみにしております。
     
     ・・・そうですか・・・最後は・・・。

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  2. 文吾さん、どうもはじめまして。
    >…しかし、今回ばかりは読むべきでは無かったですね。
    あああ、ごめんなさい。ネタバレしてしまいました。
    図書館でまとめ読みされている方がいたとは。
    どうか、ラストは忘れてください、ってそりゃ無理ですね。
    _ _;
    篠田節子は数冊読んでますが「カノン」「ハルモニア」はまだだったかも。チェックしておきます。
    ところで文吾さんは、ノースエコーにいらしたのですよね。
    以前、ノースエコーの練習にお邪魔したとき、お会いしているのでしょうか?

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  3. レスありがとうございます。
    ��「カノン」「ハルモニア」はまだだったかも。チェックしておきます。
    読み始めたらぜひblogでその事を書いてくださいね!
    ラストを紹介しますので!(…うそでーす)
    ��以前、ノースエコーの練習にお邪魔したとき、お会いしているのでしょうか?
    ああ、残念ながらその日は練習を欠席した日だったのですよ。
    ノースMLで大変充実した練習だったと知り、悔しい思いをしたものです。
    ちなみにあの時未成年だった某Pも今では立派な(?)社会人ですよ。
    時は流れ行くものですね~。

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  4. そういえば、「カノン」は既に読んでました。^^;
    >ああ、残念ながらその日は練習を欠席した日だったのですよ。
    そうでしたか。といっても、もう6年前の話なんですね・・・

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