2011年1月24日月曜日

レコメンドシステムの具体的なイメージ

レコメンドシステムについて提起しました。これをもう少し具体化してみましょう。

いくつかの前提が必要です。
まず一つ目。音楽で言うなら、現在の音楽業界(レコード会社など)がある程度崩壊していて、メジャーデビューという言葉が死語になっていること。つまり、プロとアマチュアの境目が事実上無くなっている必要があります。スタートラインはある程度公平でないと、レコメンドシステムの信用が揺らぎます。
二つ目、コンテンツを有料で買う、こともほとんど崩壊していること。デジタルコンテンツは基本的にタダになり、誰もが自由に全てを聴くことが出来る状態になっていること。コンテンツ単位で商売が成り立ってしまうと、レコメンドでお金を動かすことになかなか移行しないからです。

いずれの前提も現状では障壁が高いので、そう簡単には実現しそうも無いですが、長い目で見れば世の中はそうなっていくだろうと私は想像しています。
その上でレコメンドシステムの具体的なイメージを、末端の一般音楽愛好家の立場から考えてみましょう。
まず、Web上の音楽サイトを訪問したとします。そこでは、自分へのお勧めの新着音楽が紹介されていたり、現在のアーティストランキングなどの情報が分かります。また自分のお気に入りのアーティストの活動状況やインタビューも見れるかもしれません。こういったサイトは基本的に広告料ベースで運営され、情報を見る側はお金を払いません。もちろん、サイト内には多くのアーティスト、楽器・機材販売、音楽教室などの広告が溢れています。
たまたま、新人のとあるアーティストのお勧め記事を読んでみるととても自分に合いそうなので、音楽を聴いてみたとします。曲も気に入ったので、そのアーティストの他の曲を聴くためにただでダウンロードも出来ます。また、そのアーティストの今後の活動のため「応援します!」ボタンをクリックすると、自動的にアーティストに対して直接お金を送ることができます。

いろいろと音楽を聴いているうちに、このアーティストのこんなところが気に入っているんだ、という自分の気持ちを伝えたくなります。そういった気持ちをブログなどで文書化します。そして、この記事をレコメンドとして利用することを許可します。
この記事は、レコメンドを集めているサイトに自動的に転送されます。そして、アーティスト批評の中でこの記事を読めるようになります。
アーティスト批評を読んでいる人たちは、優れた批評の文章に「参考になった!」ボタンを押します。こうやって批評を書いた人にポイントが溜まっていきます。書いた記事の数とポイント数より、個人音楽批評家の世に対する影響度が、純粋な計算で算出されます。これをその批評家の評論レベルと呼ぶことにしましょう。
ある程度の高い評論レベルになると、個人音楽批評家は立派な音楽評論家になり、サイトの広告収入の一部を得ることが出来るようになります。

また各楽曲は、音楽評論家の楽曲評価と、その評論家の評論レベルを掛け合わせた値をひたすら足し合わせることによって、ランク付けのための評価が自動で算出されます。もちろんアーティスト自身も、楽曲の評価を足し合わせることによって、アーティストトータルの客観的評価を算出することが可能になります。
この評価は、これまでのCD売り上げとは違うので、多くの人に聴かれていても評価が高いことに繋がらない場合も出てきますし、今のように頻繁にランキングが変わるということも起こらなることでしょう。

芸術は基本的に供給過多です。
音楽を作ったり演奏したりする人は、日本だけでも何十万人とか、何百万人とかいると思います。一人の音楽愛好家の立場からすれば、自分の好きな音楽を探すのに、それだけの音楽を聴くわけにはいきません。
ですから、何らかの方法で優れたものがきちんとフィルタリングされている必要があります。あるいは「音楽的に優れている」という軸だけでなく、活動している地域や、ジャンルなどの要素も入ってくれば、ライブに行って生演奏に触れることも多くなるでしょうし、ローカルな文化圏というのももう少し活気づくような気もするのです。そして、それは音楽文化の発展に大きく寄与することになると思うのです。

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