2011年1月10日月曜日

オリジナル編曲の実践

前回は意図的に合唱だけでない汎用的な書き方をしたつもりですが、今回は具体的に合唱団でオリジナルな編曲ステージをやるつもりでいろいろ考えてみましょう。

ステージの構想を決める前に、何よりも先に編曲者を決めなければなりません。結局は、ステージのイニシアチブは編曲者にある程度委ねるわけですから。
もちろん団員で編曲する人があれば良いですね。最も良いのは、指導する立場であり、選曲に最も大きな影響を持つ団の指揮者が編曲すること。ただ、編曲に音楽的な問題があっても、団員は文句を言いづらいかもしれません。そこは、指揮者が自らの編曲の実力を冷静に判断できなくてはいけませんね。
指揮者であろうと無かろうと、団のメンバーが編曲するなら、歌う人たちの実力を考慮した編曲が可能ですから、とても演奏効果は高いことでしょう。

残念ながらそういう人がいない場合、団の外で探さなくてはなりません。
探し方は全くケースバイケースですから、ここで一般論を言うことは難しいですが、前回言ったように、若手の編曲者にしてみるのも一つの方法です。ネームバリューで選んで、随分高名な方に頼んでしまうと、なかなか編曲を変更して欲しくても言いづらいですよね。外部の人ならなおさら、頼む側に音楽的イニシアチブを残しておかないと、不幸な結果になりかねません。
もちろん、きちんと編曲できそうな若手を探す、というのもそれなりに難しいことではあります。編曲できる人も何らかの形で、もっと自分を売り出す方法があればよいのですが。

では、実際、出来てしまった編曲を修正してもらうのはどんな場合でしょう。
つい最近私にあった事例としては、音域の問題。想定している歌い手にとって、上や下がきつい、といった相談です。まあ、これは歌い手個人の問題ですから、出ないと言われたら修正せざるを得ません。
意外とあるのが、もっと曲を長くして欲しい、とか短くして欲しい、という相談。どこを切ってとか、どこを付け加えて、という指示までしてくれることはあまりないので、結局編曲者が考えることになることが多いです。ただ、構成まで原曲と同じである必要は無いですから、そういう部分も含めて編曲する人にはセンスが必要です。
編曲者にとってちょっと困るのは、編曲の指示が非常に漠然としている場合。例えば、盛り上がりを派手にして欲しい、とか、ジャズっぽくして、みたいな。ある程度お互いの手の内をよく分かっている関係ならいいですが、あまり適当な指示を出すと、依頼側のレベルも見透かされます。
まあ実際良くあることですが、音楽的なレベルが低い人ほど無茶な要求を言うものです。もちろんそれは、頼む側が無茶かどうか理解出来ないからです。そんな場合、話を聞くだけ聞いてそれなりの落としどころを探すか、頼まれた時点で、ある程度きちんと困難であることを説明するかは、その場のノリ(人間関係)でうまくやるしかないでしょうね。
頼む方も頼まれる方も、そういうことを積み重ねることで個人的な信頼関係を作っていけば良いのです。面倒でもそういう小さな作業の連続が、お互いの音楽力を向上させることになるのではないでしょうか。

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