2010年6月1日火曜日

25.音の回り込み

これも音を知る上で大事なことです。回り込みは、別の言葉で回折とも言われます。
音は基本的にまっすぐ進みますが、音源が影に隠れると全く聞こえなくなるわけではありません。音は、どこかの隙間を通り抜けて、そこからまた四方に拡散します。これは、端から見ると音が空間をカーブして伝わってきているようにも見えます。

この回り込みに関しても、周波数が依存しています。
ざっくり言えば、周波数が高いほど(音が高いほど)、直進性は高まり、回り込みは少なくなります。逆に周波数が低いほど、音は良く回り込むようになります。ですから、音源が影に隠れると、音質が少し曇ったように変わります。人はそれを聞いて、音源が動いたか、自分が動いたかを認識できるわけです。


同じことは電波にも当てはまるのです。
例えば周波数が低いAMラジオの電波は至る所に回り込んでいるので、たいていどの場所にいても聴けます。ところがちょっと周波数が高いFM放送になるとアンテナをたてないと聴けない場合があります。さらに周波数の高いテレビの電波は屋外にアンテナを立てます(最近はケーブルテレビが多くて、そういう感覚も薄れてますが)。
現在の放送で最も周波数が高い衛星放送(BS,CSなど)に至っては、電波を発する人工衛星の方向に向かってパラボラアンテナを設置します。その向きが少しでもずれると電波を上手く受信できません。そのくらいの周波数の高い電波だとまっすぐにしか進めないのです。

だいたい近所迷惑な騒音は低音である場合が多いです。複雑な空間になるほど高音は届きにくくなる一方、低音はどんどん回り込んでなかなか減衰しないからです。

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