2010年12月5日日曜日

未来の演奏会

演奏会の生中継、なんてキーワードが出てしまったので、自分の演奏会の前日に、もうちょっと妄想してみましょうか。
すごく単純化するなら、今一部のプロでしか出来ない技術が、今後だんだん一般的になっていくという流れになることは否定できないでしょう。

例えば、映像を投影する件。これはスクリーンにしても、プロジェクタにしても、だんだんとホール内に標準で設備化されていくことでしょう。例えば、合唱コンクールだとプラカードで団体名を表示するわけですが、こんなものは真っ先に電子化されるでしょうし、字幕系は軒並み投影可能になりますね。
今テレビ番組で頻繁に流れるようなテロップだって画像投影で出来るし、さらにお客さんが専用メガネをかければ、ARっぽいこととか、ニコニコ動画のように画面にテキストを流すことも出来るかもしれません。
ホール毎に、投影設備は多少は違うのでしょうが、そういうのが標準化されていけば、機材やツールも手の届く範囲に入っていきます。クラシックに限らず、バンド演奏や、カラオケ大会など、あらゆる発表会において、そういう需要はあると思います。

演奏の録画についても、誰かが自前のカメラを使うのでなく、ホールに作り付けのカメラが使えるようになっていくでしょう。複数のカメラを用いてマルチアングルで映像を(リモコンで)撮れるようになれば、その手のプロを一人頼むだけで結構いい感じの映像を作れるようになるのではないでしょうか。
これは、単なる記念のDVDを作る、という用途だけでなく、ネットを通じたリアルタイム生中継までが視野に入ります。不特定多数に見せるなら、なおのこと映像もそれなりに手の込んだものにしたくなるものです。

映像の次は音響。クラシックは生演奏だから関係ない、なんてことはありません。
司会がいればマイクが必要です。また、楽器が入ってくれば、PAで多少の補正もしたくなります。ステレオに落とすにしても、複数マイクで録ってミキシングすればより良い録音になるでしょう。今はまだ専用のPA屋さんが何人か必要ですが、もっとこの辺りの周辺技術が進歩すれば事前音響調整も不要になるかもしれないし、これもプロを一人頼めば出来るようになるかもしれません。もちろん、ここでもCD作成だけでなく、リアルタイムで音声を直接ネットに発信する用途を想定しています。

そして、このように誰でも今のプロ並みのことが出来るようになると、今度はそれを使って何をやるのか、というセンスが問われるようになります。センスもないのに思い付きのようなアイデアの塊で、こういった道具を使うとかなりみっともない結果になる可能性があります。

未来のとある日、ネット上では、例えば、毎日のようにいろいろな団体の演奏が生で流れています。その中で自分の興味のある事柄を検索し、該当する演奏会を自由に鑑賞できるようになっていくわけです。
団体にとっても、世界中でどれだけの人が見てくれたか、ということが再生数で分かります。再生回数の多い団体は、ランキングなどで目立つことになりますし、そうなればさらに世界中の注目を浴びるようになることでしょう。
ネットだとタダで見れるのでお客が減ってしまう、という危惧はむしろ逆で、ネットで評判になれば次の演奏会にはたくさんのリアルなお客が増えると思います。

このように誰でも世界中の演奏会が見れるようになる、というのは、10年くらいの内には認知度は高まるでしょうが、多くの演奏家が積極的にこの仕組みを使えるほど一般化するには、さらにもう20〜30年くらいかかるかもしれません。
しかし、着実に世の中はプロもアマも関係なく、同じような土俵に立つ流れになっています。そして、ますます純粋に音楽の質だけで、善し悪しが語られる、嬉しいような厳しいような世の中になっていくと私には思えます。

2 件のコメント:

  1. プラカードは意外となくならないような気がします。あれって、先導するための目印ですからね。舞台の外での活用度合が強いから。。。

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  2. そうか、お客さん用では無いわけですね。

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