2010年7月30日金曜日

リアル本は簡単には無くならない

iPad、Kindleのおかげで電子書籍の時代になるのではと言われています。
ニュースでも、電子書籍の流れに遅れまいと、電機メーカー、出版社、取次業者などの連携話が絶えません。確かにちょっとでも遅れると、アメリカ企業に全部おいしいところを取られるという危機感があるのでしょう。

しかし、電子データを買うという行為について、もう少し冷静に考えてみて欲しいのです。
50年後にあなたが買った電子データは一体どうなっているでしょうか? 50年経っても今のiPadやパソコンも持っているなんて無さそうです。そうこうしているうちに電子ファイルのフォーマットが変わったらどうなるでしょう?
ある程度大規模でしっかりした販売業者なら、販売記録もあるだろうし、データコンバートの仕組みも整えるでしょうが、そうでなければ、買ったデータはいつか読めなくなります。業者としても、過去に売ったデータのサポートまでは(利益にならないから)本当はしたくないはず。「お客様のデータはすでにサポートされていない形式です」みたいな。
ユーザだって、フォーマットが変わったり、自分が新しいハードを買う度に、データをコンバートするなんて面倒なことをしたくないはず。
こんなことを人に言うと、きっと技術が進歩してうまくやってくれる、みたいなことを言われますけど、これまでのPCの発展の歴史を見れば、それが無理なことは明白。
だいたい50年前にある人がある本を買った記録を残してくれることを、誰が保証してくれますか。多くの企業がそういう未来の負担を知ってか知らずか、データ販売をやりたがるというのは、私はかなり危険な香りを感じます。

全くの無料になればクラウド上のデータを落とせば良いので、問題は無いでしょう。それだって、過去に有料だったものをいつ無料化するかっていうのは悩ましいです。
結局、お金を払って買って、なおかつ長い間手元に置いておきたい本は、電子書籍には不向きだと思います。逆に新聞、雑誌などの情報誌は電子書籍に向いているかもしれません。
世の中の書籍データの価値がどう変わるか分かりませんが、あんまり早急に電子データを買って、後でデータを失って痛い目を見ないように気をつけたいものです。

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