2009年3月7日土曜日

日本語を伝える

ここのところ外国曲を振ることが多かったのですが、今年になってから日本語の曲ばかり扱うようになりました(というか、全部自分の作った楽譜ですが・・・)。
あらためて日本語で歌うことについて、いろいろ考えさせられます。
少なくとも私からみれば、ウチの団も、その他の多くの団も、日本語の抑揚が一様で、棒読みしているようにしか聴こえません。だから、言葉も良く伝わってこないし、そもそも伝えようとする意志が希薄に感じてしまうのです。もちろん、歌い手は練習に対して一生懸命取り組んでいるのだろうけれど、そもそも伝えるための工夫が足りないと私には思えます。

言葉を伝えるにはどうしたら良いでしょう?
残念ながら「もっと気持ちを込めて!」だけしか言わない指導者からは、良く伝わる日本語の歌は聴けないでしょう。言葉が伝わらないほとんどの場合は、伝えるスキルの低さに起因するものです。
単純に歌がうまい人、朗読がうまい人の日本語の扱い方を調べてみればすぐわかることです。うまい人を見て「気持ちが込もっている」程度の感想しか思い浮かばない人は、彼らの努力を想像することさえ出来ません。

言葉を伝えるにはまずいろいろな固定観念を疑う必要があります。
例えば、日本語には母音が五つしか無い、と単純に思っていませんか?そして、それを前提に日本語を扱っていませんか。
本当は母音の区切りが五つしか無いだけであって、同じ「あ」でも単語や文脈や音価などによって発音は異なって当たり前なのです。
そこを理解しないで「母音をはっきり」とだけ指導していると、下手な音声合成ロボットのような無表情な歌にしかならないのだと思います。

1 件のコメント:

  1. あげさん、お久しぶり。
    「生まれる」は良い例ですね。しゃべり言葉とひらがなが一致していないことって実際にはたくさんあって、それを認識しないと、一生懸命ひらがなを歌っちゃうんです。
    アクセントとかイントネーションと作曲の関係、どうしても音の力学を優先する場合もありますから、実際の発語と一致しないこともあるでしょう。
    そこは演奏家の技量で何とかして欲しい、というのが作曲家の願いでもあるわけですが・・・。

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