2011年4月22日金曜日

MIDIで曲紹介すること

オリジナル作品紹介のページで拙作の多くをMIDIで聴けるようにしてあります。
初演済みのもので私の方で音源を自由に公表できるものは、YouTubeのMyチャンネルで音源を紹介しているのですが、音源の公開の出来ないもの(販売されているもの)や、音源のクオリティが低いもの、そもそも演奏されていないものについては、なかなかアップするわけにはいきません。

演奏されていない楽曲をとりあえず紹介するのにはMIDIが最適です。
楽譜だけ公開しても、ほとんどの人はそれだけで音の雰囲気を掴むことは出来ないし、ある程度楽器などで弾いてみるにしても、長い曲ならばやはり聞くだけの方が嬉しいはず。
作る側からすれば、MIDIはファイル容量も少ないので、自分のホームページの容量を気にする必要もありません。また、何もないところから演奏しないで音を作るには、もっともMIDIが手っ取り早いです。DAWで音楽制作を始めると、それだけでだいぶ労力を使うし、合唱にいたっては歌詞通りに歌ってくれることは不可能なわけで、MIDIと大して差が無くなります。(密かにボーカロイド合唱版を期待しているのですが・・・)

とはいえ、一方MIDIゆえの敷居の高さがあります。
だいたい電子楽器を扱わない人にとって、MIDIなんて何が何だかさっぱり分かりません。MIDIで聴けます、といわれてもどうやって聴いたらいいか分からない。まあ、気の利いたパソコンならクリックするだけですぐに聴けるのですが、Web上で「プラグインが必要です」とか言われるとそれだけでひるんで聴かない人も多いことでしょう。
あと、長い間MIDIを使って人の感想を聞いて思うのは、やはり音のしょぼさ。
自分としては、楽譜の音がすぐに分からないと思うからMIDIを公開して、少しでも音楽の雰囲気を伝えようとしているのに、聴いた後で「変な音」とか、「歌詞が出ないの?」とか、言われる始末。コレなら音源を公開しても、「演奏が下手」とか言われるのと大差はないのだけど、それだけ他人は音を聴くと、結局演奏や音の質までセットで聴いてしまうものなのです。

そういう意味では、ピアノ曲などの鍵盤楽器の曲をMIDI公開するのは、もっとも音像が近くて理想的なのでしょう。
しかし、管楽器はまだしも、弦楽器や声のようなあまりに柔軟な振る舞いをする楽器は、MIDIでの再現が非常に困難です。その分、人の意識はその異質さに向いてしまい、和音やディナーミクだけを抜き出して曲を理解してもらおうなどというのは、実際に難しいものだと感じています。

私自身はMIDIの使い手であるだけでなく、MIDIを使ってくれる人のための製品を開発する側でもあるので、MIDIをもっと理解して欲しいと思う反面、まだまだ表現力の足りないMIDIがもっと良くならないものかとも感じます。
合唱作曲家としての立場で言えば、MIDIデータを打ち込んで、発音情報まで打ち込めば、それなりに電子楽器が歌ってくれる、というのが理想です。
まあ、そういう商品は今まで無かったわけじゃありませんが、そのクオリティは一般の人から見ればオモチャに毛が生えた程度。ボーカロイドは逆に風俗化して、あの機械っぽさが受けているところもある気がします。
もう少しそのあたりの音楽の再現性が高くなれば、MIDIでも合唱曲を紹介することがさらに容易になるはず。楽器側(電子音源側)の問題は、自分のお仕事としていずれ解決したいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿