2009年10月8日木曜日

我流、指揮法

指揮というのはセオリーがあるようでいて、方法論はあまり明文化されていません。逆に教科書的なやり方では現場での柔軟な対応が出来ない、とても厄介な技術です。指揮の説得力にはどうしても人格的な要素が入り込んでしまい、それが純粋な技術論を見えにくくしている原因であるようにも思えます。
とはいえ、棒のテクニックだけでもより明瞭な指示は出来るはずです。私が意識していることなど、ちょっと書いてみましょう。

まずはテンポによる図形の描き方の違い。
斎藤メソドによる用語を使うと、テンポが遅い順に
 平均運動→しゃくい→たたき→直接運動
というような図形を描きます。
平均運動とは、例えば三拍子なら、三角形をゆっくり等速運動で描きます。打点(拍の頭の音が出る位置)は三角形の頂点ではなく、辺の中間あたりにある感じです。これで緊張感のあるレガートを拍を分割せずに表現できます。
しゃくいとは、振り子の運動のような動き。打点は一番速度が速いところになります。平均運動よりテンポが速くなり、ゆったりした中庸のテンポに利用できる最も一般的な振り方と言えるでしょう。
たたきは文字通り、叩いたときの運動です。しゃくいの振り子運動が鋭角的になった感じ。当然打点は叩いて跳ね返った点になります。快活なテンポを表現するのに向いています。
直接運動は、例えば三拍子なら、各頂点を瞬間的に移動させ、頂点で棒を止めるような振り方。棒が動き終えた瞬間が打点です。テンポが非常に速く、一定であるときに使います。

中庸なテンポなら誰でも振りやすいのですが、テンポが遅いとき、及び速いときは、指揮の技術が試されます。
テンポが遅いとき、棒が止まってしまうと次の打点が予測できずに歌いづらくなります。従って、平均運動でなるべく棒が止まらないようにする必要があります。
また、テンポが速いとき、たたきだと非常に動きが多くなり、せわしない感じになります。これもテンポが明瞭でない原因になりますが、直接運動だと、コンパクトに明瞭なテンポを示すことが可能になるのです。

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