2009年11月15日日曜日

IT社会の行く末

技術的に可能になったことで、社会との軋轢が生まれることがあります。
特に著作権関係は近年多くの問題を生んでいます。さっきも新聞に書いてあったグーグルの全書籍デジタル化計画とか、東芝の私的録音補償金不払い問題とか・・・。
いずれもIT技術によって、コンテンツの複製と頒布があまりに簡単に出来るようになったことから生まれたことです。そもそもコンピュータというのは、情報を複製するのが得意。一度情報がデジタル化されてしまえば、世界中に張り巡らされたネットワークで世界の隅々まで無料で送り届けることが可能です。
コンテンツビジネスの商慣習が変化しないまま、圧倒的スピードでPCは普及し、ネットワークは発達しました。新しいネットサービスが流行る度にネットのトラフィックは増え、益々通信のインフラは増強されていくでしょう。そうなるに十分な経済的合理性があるからです。

本来、コンテンツホルダー(著作権者)としては、こういった事態を憂うのは当然だと思います。
しかし、それでも私は世の中のIT化は止められないし、それに適合する新しいビジネスモデルを模索するべきだと考えます。
だから、作家団体がグーグルを批判したり、著作権団体がメーカーを批判したりするのは私には後ろ向きの発想に感じます。もちろん、今その収入で飯を食っている人には切実だけれど、数十年後を見据えた大きな議論をするのなら、また結論は違ってくるでしょう。

文学・音楽・絵画・動画などのコンテンツ制作者は今後IT化に対して、もっと戦略的な発想を持つべきです。もちろん、それと同時に社会全体が芸術に対してどのようにお金を払っていくのか、作る側だけでなく享受する側の意識変革も必要なのかもしれません。
いっそのことデジタルコンテンツに税金とかかけれないでしょうかね。水道料金や電気料金みたいに、ネットのトラフィックで払う税金を決定するわけです。そして、税金で集められたお金の一部を、政府がコンテンツの流通に応じて芸術家に分配するっていうのはいかがでしょう。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    IT化を踏まえて新しいビジネスモデルへ、というお考えに大賛成です。
    ただ、最後の「税金」という発想はちょっと賛成できないです。コンテンツだけを特別扱いする理由がないからです。
    文化振興ということで、ある程度の補助金を投入して新人発掘とかをするのはよいと思いますが、社会保障の仕組みを他の商売をされている方々と異なる仕組みにするまでの必要性はないと思います。
    以前、松本零士先生がお蕎麦屋さんやうどん屋さんを保護する法律はない、という話に対して、「そばやうどんと一緒にしてもらっては困る。作家の作品は残るが、そばやうどんは私にも作れる」と答えたそうです。
    松本先生は何か特別なものをしているとお思いのようですが、すごい漫画家もすごい蕎麦屋も同じくらい尊いですし、下手でも頑張っている漫画家、下手でも頑張っている蕎麦屋、いずれも応援したいけど、別の道を志したほうがよい場合もある、こんな風に思っています。
    拙文、ご容赦下さい。

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  2. とくめい様、こういった議論に参加してくださりありがとうございます。
    松本零士氏の著作権にまつわる言動は、ほぼ私の意見の正反対です。著作権延長に私は反対ですので。
    税金云々は一種の思考実験です。
    しかし、芸術を重要視するという観点で特徴ある国作りをするという考え方もあるでしょう。芸術立国みたいな。
    もちろん、反対する人はたくさんいるでしょうが。
    次回も同じようなネタを書こうと思っています。是非又お越しください。

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