2009年11月29日日曜日

IT社会の行く末─タダが普通になる

ITを論ずるときに、技術的なことだけ考えていると片手落ちになるような気がするのです。
ネットが我々にもたらしたことは、技術革新だけでなく、社会の有り様の再定義ではないかと思うからです。
文字も音楽も絵も動画も全てデジタル化可能です。それらは全て、ネットによってほとんど流通コストをかけずに世界中に配信できるようになってしまいました。後は、通信スピードの向上と、どこでも情報をキャッチして楽しめるようなインフラ及び端末の高性能化がさらに進むだけです。

今はまだデジタルコンテンツを売って商売している人たちがいるために、DRM(デジタルの著作権管理技術)のような仕組みが期待されていますが、どうやったって、そういう技術はいつかは破られます。それより、自分の出すコンテンツはタダでいい、とやり始めた人が出てくれば、価格崩壊が起き、いずれなし崩し的にタダで供給する人が増えていくと思います。
結局、享受する側は、タダなのが普通、という感覚になっていく・・・というのが私の想像です。

つい数年前までは、本はなかなかデジタルで置き換わるのに時間がかかるだろうと思っていました。ところがAmazonのKindleが売れているようで、物理メディアの低コストが確立している出版でさえ、遠くない将来デジタル化される気がしてきました。

経済的に何が起きるか、私が想像するにはあまりに門外漢なのですが、文化的に想像できるのは以下のようなことです。
・公的になる境目が無くなったために、アマチュアとプロの境目が不明瞭になる。
・売り上げで作品の価値が決まるのでなく、レコメンドの集積したものが作品の価値になっていく。
結果的に、現在よりも作品の価値が正当に評価されることになるのでは、と私は思います。もちろん、正当に評価されてもお金は入らないわけですが。

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