2009年11月26日木曜日

詩はどこへ行ったのか

朝日新聞のオピニオンという紙面に、上のタイトルで谷川俊太郎へのインタビューが書かれていました。
一言一言が大きな共感をもって響いてきます。何が凄いって、1931年生まれのお爺さんが、コスプレとかスラムダンクとかブログとかを語るんですよ。私には文化人だから当然とはとても思えません。谷川氏自身が社会との関わりを大事にし、常に同時代性を追い続けていることの証左に他ならないと思うのです。
だから、この記事全体が最終的には商業主義、金と権力、デジタル化を一見否定しているように見えるのだけれど、それで単に郷愁を刺激されて読み手は安心してはいけない、と感じたのです。
それを一番感じたのは次の一節。

─詩人体質の若者は、現代をどう生きたらいいんでしょう?
「まず、社会的存在として、経済的に自立する道を考えることを勧めます・・・」
谷川氏は社会の中にある詩情を掬い取りたいと思っている。それは世捨て人のような仙人が紡ぐような芸術とは対極にあるものです。

今の時代、ふと気を抜くと簡単に商業主義やデジタル化の波に飲まれてしまいます。
そういう社会を肯定しながらも、敢然と立ち向かい、それらが抱える問題をしっかり認識した上で、折り合いを付けながらも新しい世界観を提示していく・・・それこそが現在の芸術家の果たすべき使命ではないか、とこの記事を見て私は感じたのです。

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