2009年2月8日日曜日

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ブラピ主演で、アカデミー賞に13部門でノミネートされているということで話題になっている映画。
内容は、年を取るほど若返ってしまう奇妙な男の人生を描いたもの。設定だけみると、非現実的な設定でSFぽかったり、ファンタジーっぽい雰囲気を想像してしまうけれど、これは完璧な人間ドラマ。人の生死を正面から扱い、人は一生かけて何をなすべきか、といった人生論めいた問題を観る人に投げかけます。

基本的には、主人公のベンジャミンとデイジーの恋愛が軸にストーリは展開されます。
幼い頃に出会った二人。デイジーは好奇心おう盛なかわいい女の子。でも、ベンジャミンは子供にして老人の風貌。それから二人は成長して、デイジーはバレエダンサーに、ベンジャミンは初老の男になりこの辺りから二人は意識し合います。
30代頃二人の年齢が最も近づいたとき、二人は一緒に暮らすようになり、幸せに満ちた生活を送るのですが、子供をもうけた後、益々若返る自分には父親の資格が無くなると思いベンジャミンは苦悩することになります。
この間、母親代わりとしてベンジャミンを育てた老人施設を切り盛りする女性、老人施設内の死にゆく老人たち、ピグミー族の男、ベンジャミンの生みの父親、船乗りの船長、ロシアの外交官の人妻、などなど多くの人たちがベンジャミンと関わり合い、そして別れていきます。一つ一つのエピソードが秀逸で、泣けるシーンが盛りだくさん。水泳で海峡を渡った老女がテレビに出るシーン、あの伏線がこういう形で解決されるのに思わず感動。
何しろ一生をそのまま描いたので、映画もたいへんな長尺です(2時間40分ほど)。

もう一つの見所は、老人から最後は子供にまで至る特殊メイク。デイジーも最後はおばあさんまで同じ人がこなしているのだけど、最近の特殊メイクってもうほとんどわからないですね。とても自然で、同じ人間がちゃんと年齢を重ねたように見えます。そういった細かいリアリティが、この物語の感動をより強めることになっているのだと思います。
何しろ、年を取ると若返る、という設定で、これだけの感動ドラマを作り上げたそのクリエイティビティは賞賛に値すると感じました。

0 件のコメント:

コメントを投稿