2008年9月7日日曜日

アカペラの面白さとは2

前回の話とは全く別方向になってしまうけれど、声の持つ多彩な表現を利用しようとすると、ときにそれは非楽音になることもあるわけです。非楽音というのは、普通の音符で記譜できない表現のこと。
例えば、言葉をそのまま語る場合もあるでしょうし、叫んだり、笑ったりすることだってできます。ポルタメントさせたり、声を出している間に音色を変えたり、打楽器のマネをしたり、かけ声をかけることだってできます。
おおよそ、声は人間活動のあらゆる局面において使われるものであり、声を使った芸術では、そういった表現から色々な要素を取り込むことが出来るはずです。
それは声がもっとも原始的な発音体であり、感情の直接的な表現に適しているからではないでしょうか。

であるなら、合唱はそういった多面的な声の表現を、非楽音として音楽に取り込んでいくことに躊躇う必要は無いでしょう。もちろん、実際、そういう合唱音楽は世の中にたくさん存在します。
そういう曲は、一見、現代音楽的な扱いを受けてしまうこともありますが、ごく普通の曲の中であっても限られた範囲で使うことによって、さらに効果的になるに違いありません。

もちろん、この話もアカペラに限定されるわけではないけれど、伴奏楽器というのは音楽全体に秩序をもたらすことになるので、伴奏付きの合唱曲には、より声による非楽音が使われにくくなると思います。オーケストラ伴奏ともなれば、合唱はほとんど器楽に近い扱いを受けるようになります。そう考えると、やはり声の多彩な表現を効果的に使うには、アカペラがもっとも適しているのではないでしょうか。

エンターテインメント性を持った合唱音楽を作ろうと思えば、非楽音的な声の表現も使いたくなるものです。
残念ながら、日本の合唱団は、そういう音楽以外の表現を苦手とする人たちが多そうです。どうしてもやらされている感じが拭えなくて、もっともっと殻を破ってみようよと私は言いたくなるのですけど。

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