2006年3月6日月曜日

THE 有頂天ホテル

いやー笑いました、ほんとに。気が付いたら、涙流してました、笑いすぎて。
恐らく誰が見ても、楽しめる映画だと思います。細かいこと抜きに単純に面白いです。こういう映画は見て良かったって思えますね。

確かに単純に面白いんだけど、実はすごく良く出来ている映画だと思います。私が何回か言っているのは、邦画に芸術作品としての「構造性」が足りないということ。しかしこの映画、日本的な笑いを多用しているにも関わらず、ストーリー全体はとても緊密な構造性を持った精度の高い芸術作品だと感じました。
日本アカデミー賞を総ナメにした「Always」だって、エピソードの寄せ集め的な映画で、題材は良かったけど構造性があるとは思えなかった。しかし、この有頂天ホテルは、うまいなあ、とほんとに思います。
基本的にいろいろな人のいろいろなエピソードが絡み合いながら話が進むわけですが、それらの主題が微妙に交錯しながら、無関係なはずだったエピソードが終盤で繋がっていきます。ラッキーアイテムのマスコットが、一回りして結局元に戻るあたり、構造性の極致といえますね。さすが、三谷幸喜、才能あります。

笑いのキーワードとしては、誰もが持っている恥部をとことん掘り下げるというか、それがまあ、掘り下げすぎというか、そういうところにあるのでしょう。
クネクネダンスも、みんなの想像を掻き立てたまま、結局一度も画面に現さないところがいいですね。
あと、かっこつけて嘘をついたり、アクセサリーについつい手を出して鏡の前でくるくる廻ったり・・・思わず日常生活でやってしまいそうな個人の恥部をどこまでも拡大させていくっていうのが、三谷氏の芸風なのでしょう。

古畑任三郎なんかも以前より、日本ドラマ離れした構造性の高さを感じていました。
実は構造性が高くなるほど、古典的な形式をわざと使ったりするなんてことがあるのかもしれません。ラヴェルとか、ストラヴィンスキーとかなんかもそんな感じだし(いきなり音楽の話になるけど)。

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