2004年12月24日金曜日

温故知新

新しいモノに価値を見出すことは本当に難しいことです。
ほとんどの場合、新しいモノといっても玉石混交で、とりあえず批判しておけば8割くらいは当たることでしょう。まあ、責任のない立場なら何を言っても構わないわけで、それだけに人々の批評の言葉は当人が思っている以上に保守的なものなのです。
しかしそもそも古いモノが優れているのは当たり前なのです。なぜなら優れたものしか残っていないからです。だからそれをもって昔の方が良かったなどと言うのは的外れなのだと思います。
人は皆、自分の手が届かない場所にあるモノに憧れます。古いモノは古いが故に手が届かず、だからこそ永遠に超えることのできない憧れになり得ます。だから、今の時代にバッハを好きな人が、「バッハと同時代に生きたかった」などというのは、おおよそ見当違いな発言になる可能性があります。もしバッハの時代に生きていたら、平気でバッハを批判していたかもしれないのです。
古いモノに価値を見出すことは簡単だけど、そのスピリットを受け継ぎ、新しいことを生み出すことはいかに難しいことか。新しい価値を作り出そうとするとき、作り出すというそのものの苦労だけでなく、過去にとり憑かれた人々の深層心理とも戦わねばならないからです。

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