2015年1月25日日曜日

ファブ社会への期待

ファブラボが今日本中でオープンしていますが、こういった施設が当たり前になって広く利用されるような未来はファブ社会と呼ばれています。
ファブ社会では、規格化、標準化された工作機械があちらこちらに配置されており、それら工作機械を動作させるための電子化された図面データがネット上を駆け巡ります。

これまで商品の設計、開発、生産は、それらを製造する企業内での活動であり、その方法は企業内で独自に培われてきたものだったのですが、試作・開発するための機材や部品が共通化されていけば、企業内で閉じていた方法論もだんだん似通ってくることでしょう。
昨今のIT化によって、世の中では電子ファイル形式の標準化が進み、さらにWebベースで事務作業が出来るようになると書類仕事がどんどん標準化されるようになってきました。
そして、書類仕事だけでなく、実際にモノを作るための方法論もまた、同様に標準化される可能性があるはずなのです。

もちろん、そういった開発プロセスの効率化が各企業の競争力のみなもとでもあったのですが、社会全体の効率から考えれば、その過程が完全にオープン化されてしまった方がはるかに生産性が高くなるのではないか、とも考えられるのです。


そんなわけで、またしても勝手ながら、そんな未来を想像してみようと思います。

街にはたくさんのファブラボがあります。
ファブラボは今のコンビニくらいの勢いで存在しているといいですね。
もしあなたに何か自分の欲しいものがあったとき、あなたはまずネット上で世の中にどのような種類のものがあるか検索します。そして、それらの中からあなたの好みに合うものを探し出します。
もちろん、人件費の安い国で作られた、安かろう、悪かろうの汎用品は未来にも存在するでしょうが、ちょっとだけでも自分のオリジナルな希望を叶えようと思えば、世界中にそれを満たしてくれるデータがどこかにあります。

次に、あなたはそれらのデータをダウンロードします。
データの開発者には、気持ち程度の寄付をして、そのデータを近くのファブラボに転送します。ファブラボで自分が工作機械を使って製造すれば、値段は機械の使用料と部材費のみ、製造もファブラボに依頼すればさらにその値段が上乗せされます。
もちろん汎用品よりは高くつきますが、色や形にオリジナリティを加えれば世界に二つと無いオリジナルなものがそれほど高くない値段で手に入るわけです。

ファブラボはあくまで民間なので、より良いサービスやクオリティをもったファブラボが儲かるし、世界的なネットワークを持っている方がファブラボとしての価値は高まるでしょう。

ある製品を設計した人、あるいはチームには、世界各国からライセンス料、あるいは寄付金を得ます。
ライセンス料はある程度、数量を生産して商売したい人から徴収します。データはあくまでオープンですが、商用利用ではライセンス料発生、といった形でデータを公開するわけです。
もちろん、ダウンロードした個人からの寄付もあるかもしれません。データのやり取りとはいえ、一対一の関係ですから、いいモノを得たのならそれに対して感謝の意を表したいのが人情というもの。


そんな時代、いま企業が作っているほとんどのものは、個人開発者が作るようになります。
企業は、大規模で安価に売る汎用品、量産品を作るか、ファブラボが使用する材料、部品を供給したり、ある程度の規模が必要な新しい技術開発と、それをベースにした標準化の取り組みなどがおもな業務になるでしょう。

ここで対象となる製品とは、最初のうちはシンプルなオモチャとか、照明、椅子のような小家具やインテリアが中心でしょうが、そのうちにタンスやベッドなどの大規模な家具、テレビ、パソコン、オーディオなどの電気製品、自転車、自動車といったものまで可能になるかもしれません。

もちろんこのような未来の社会では、今存在しないような職業が出来ているわけです。
ファブラボの運営や、工作機械の説明員、そして個人設計者、世界各地の情報収集と検索を容易にするポータルサイト、国を超えた少額送金システムなどなど。

こんな社会になったらいいなと私は切に願っているわけです。

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