2011年8月2日火曜日

コクリコ坂から

スタジオジブリの映画。監督は宮崎駿の息子の宮崎吾郎。
あとで調べると製作には相当の宮崎親子の確執があった、などという情報もあるようですが(その様子がNHKでドキュメンタリーになるらしい)、私としては非常に素直に良い映画だなと思いました。
宮崎駿モノは嫌いじゃないけど、そのステレオタイプさがやや引っ掛かりを感じていて、そういう意味ではこの映画にそういう部分が少なかったのが良かったのかも。

舞台は1963年の横浜のとある高校。
舞台設定としては団塊世代、涙チョチョ切れ的な感じ。しかし、「ALWAYS」みたいに、そういった昭和のあれこれを懐かしむような見え見えの演出も特になく、非常にさり気なく当時の風俗を描いていたのは好感。もちろん、街並みや看板の文字など随所に当時の風俗が盛り込まれ、マニアックな楽しみも多少は残してあるようです。

しかも高校生のバンカラ風土がまた泣けるじゃないですか。
学生運動などを知っている50代以上なら、それなりにツボにはまるのではないかと思います。私も大学時代には、多少のバンカラ風土が残っていたので、ぎりぎり理解出来る世代のつもり。
逆に40代以下になると、学生のあの無駄な熱さ、インテリ指向、歌を歌って団結、みたいなノリは理解しがたいだろうし、気持ち悪く感じるのかも。そうでもないのかな。

そんな雰囲気の中、まさかの少女漫画的恋愛ドラマと、韓国ドラマ的出生の秘密が絡むという展開。
えーっ、と内心思いながら、さすがジブリが選んだ原作だけあって、最終的には非常に清潔なストーリーに仕上がっていました。
下品なドラマだと、知ってしまったことを秘密にし続けようとして敵に知られ脅されたりとか、思い詰めて自殺未遂するとか、アホな展開になるのですが、この話では主人公同士があっさり秘密を話してしまったあたり逆にリアリティがあったし、その後で主人公のメル(海)が密かに寝床で泣くところなど思わず感情移入してしまいます。

あと、印象的なのは高校生から見た大人像。
大人って本当に大人だよなあ、みたいな、今の私から見ても憧れるような大人がきっちり描かれている。アニメの中とは言え、高校生の頃に思っていたカッコいい大人像を、もう一度思い出してみたくなるような気持ちになりました。
あの頃なりたかった大人に、今の自分はなっているのか、ちょっとそんなことまで感じてしまいました。

少年少女の恋愛が軸とはいえ、非常に良質で、懐古趣味を上手く孕んだ中高年向けの映画だと思いました。

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