2011年3月26日土曜日

個人と組織

「新しい日本を始める」で書いたように、個人と組織の関係が変わり始める予感を感じています。
何か判断をする際、個人個人ではいろいろな考えがあっても、組織では何かしら統一の判断をしなければなりません。そうした場合どのような判断になるのか、今回の震災でも特に自粛などの問題でそれが良く現れていると思います。

コマーシャルが一気に消えてACばかりになっていること、いろいろなお祭りイベントが自粛で中止になったこと。これらは特に昨今の日本的な組織の判断と言えるでしょう。
コマーシャルは面白おかしく宣伝するものが多いですから、不謹慎かも、といったん思うと、そのCMを流すことが不安でしょうがありません。いったんどこかが自粛を始めると、もう、面白おかしくないようなCMまで不安の連鎖で自粛しまくりです。
同じようなことがイベント系の自粛にも当てはまります。

このような状況において、自粛しない人たちのほうがより目立つし、むしろ個人の目で見たなら賞賛すべき態度のようにも思えます。では、自粛しない組織はどんな組織か?
恐らく、自分の考えを信じ、かつしっかりした考え方の出来るリーダーが決定権を持っている組織です。悪く言えばワンマンな組織ですが、明瞭な個性を持った組織です。それは極めて、個人の振る舞いに近い組織でもあります。

恐らく戦後などの混乱期には、日本の組織にもそのようなリーダーシップを持った個性的なリーダーがたくさんいたと思うのです。
それが安定的な成長の時代になって、破天荒よりも安定を、ハイリスクハイリターンよりも、ローリスクローリターンを、直感よりルール・プロセスを重視する社会になり、官僚的な人々が組織を運営するようになってきました。
そして、それによって多くの日本人が閉塞感を感じているのではないかという気がするのです。

だから、官僚的なリーダーより破天荒なリーダーが人気を集めます。
政治で言えば、小泉元首相、最近なら大阪の橋元知事、名古屋の河村市長。経営者ならソフトバンク、ユニクロ、楽天の各社長など・・・。Appleのスティーヴ・ジョブスなどもその代表例。
彼らは、組織のリーダーであると同時に、強烈な個性を持った個人であり、その個人の個性が彼らをリーダーと仰ぐ組織の個性ともなっています。

これらは大きな組織の話ですが、組織はまた小さな組織の集まりでもあります。
今や、個性的な個人が直接世の中に発信出来るツールもどんどん増えてきました。そのようなツールを使えば場所を越えて、緩やかな組織化も可能かもしれません。
そうすることによって、官僚的な組織が順次瓦解し始め、自分が尊敬できる人の元で直接働けるようなそういう流れも可能かもしれないと思うのです。
やや想像が先走りすぎですが、個性的な個人が作り出す世界のほうが圧倒的に面白い、その事実に人々が気付き始めています。個人がそれぞれの個性を発揮し、その個性に共感する人がその人の周りに集まって新しい組織化を始める。そんな行動が少しずつ始まるのであれば、良い方向に社会が向かうのではないでしょうか。

震災はそんな旧来の組織の弱さをどんどん露呈していると感じます。このような混乱期こそ、新しい個性が生まれやすい。やや不謹慎かもしれないけれど、災い転じて福と成すような方向に、日本全体が変わっていっていくことを大きく期待しているのです。

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