2008年6月8日日曜日

芸術論〜漠然とした主張

いい音楽って何だろう?という素朴な疑問について。
あんまりにも漠然としすぎて、素人ほど断定調に自らの思うところを語ってしまいがちだけど、音楽活動を継続的にしている人は、一生かけて追い求めるテーマなのだと思います。
もちろん、いつだって最良の、最高の音楽が出来たなんて思えないのだけど、それでも自分の中で何らかの理想像を持っていなければ、よい方向に持っていくことすらできません。
つまり、「いい音楽って何だろう?」という疑問は、そのままそれに答えようとする人の音楽の理想像を示すことに他ならないと思うわけです。

ところが、理想像がもし特定のアーティストの特定の演奏をイメージしているのなら、それは違うと私は思います。当面の目標ではあり得ても、音楽活動する人の最終目標では無いはずです。なぜなら、それは結局のところ他人の真似でしか無く、真似をする以上、目標となる対象には永遠に近づけないからです。自分は誰でもない自分自身であり、本質的に他の誰の真似も完璧には出来ないし、逆に他の誰も自分を真似することは出来ないのです。

芸術である以上、ある一定の技術力が必要なのは確かですが(もちろん、それを極めるのもとてつもないことですが)、それと同時に自分であることの唯一性、独自性、オリジナリティが、特に技術的レベルが高くなるほど求められるし、誰にも出来ないことをやるからこそ、そこに価値があるがあるはず。
オリジナリティという言葉をどれだけ真に咀嚼し、明確な形で示すことが出来るのか、それこそその人に取っての「いい音楽」のセンスが試される部分であり、最後に人の心にその音楽を残せるのかどうかの判断の分かれ目となるのだと思います。

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