2008年6月1日日曜日

Beyond Standard/上原ひろみ

Beyond上原ひろみのニューアルバムが発売されました。
これまでオリジナルオンリーだった上原ひろみがスタンダードに初めて挑戦したアルバム。スタンダードといっても、ジャズ的な意味でのスタンダードではなくて、様々なジャンルから曲が選ばれているというのが特徴です。
例えば、ドビュッシーの「月の光」、デュークエリントンの「キャラバン」、坂本九の「上を向いて歩こう」、ジェフベックの「レッドブーツ」など。
何をリスペクトして、自分は何者であろうとするのか、アーティストのそういう方向性がこういったカバーアルバムでは、より鮮明に見えてきます。そういう意味で、選曲そのものが興味深いですね。クラシック、ロック、ジャズ、何にでも影響を受け、いいものはいいんだ、というシンプルかつ、自分の感覚を信じる強い信念みたいなものを感じます。図らずも編曲の話題の後なので、やはり上原ひろみはレベルが違うなあ、と改めて思ったり。

サウンドは率直に言えば、オリジナルが無くなった分、攻撃的で技巧的なテーマやフレーズが減り、表面的にはややおとなしくなった印象。ジャズマニアから見れば、オリジナルをどのように料理したか、という別の興味があるのでしょうが、私はまだそのレベルには達してはいないかも。
ただ、「月の光」はいささか無理やりジャズのフォーマットに持っていこうとして、それはそれで興味深いのだけど、もっと他のアプローチはないかな、とは思いました。

とはいえ上原ひろみの場合、ライブになるとCDでは聴けない激しさや、表現の幅の広さを見れるので、生演奏を聴くとまた一曲一曲のイメージも変わるかもしれません。
また、機会があればコンサートに行ければいいのだけど。

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