2007年1月16日火曜日

明和電機を初めて見る

明和電機というアーティストをご存知でしょうか?
中小の電機会社というスタイルを持ちながら、ナンセンスな楽器やオブジェを製作し、それらを使ってパフォーマンスをする団体です。
この明和電機のパフォーマンスと講演を聴く機会がありました。大変面白かった。すごい刺激になりました。

正直言って、社長の土佐氏は非常にセンシティブな感覚を持った芸術家だと思います。もし彼が単なるアホなパフォーマーだと思っている人がいるなら、それは違うと声を大にして言いたい。確かに、ナンセンスな器物、変てこな踊り、おやじギャグ的ネーミングの数々は、彼を手の込んだお笑い芸人と思わせるかもしれません(しかも吉本興業所属)。
しかし、土佐氏の話を聞いて思ったのは、本来、この人はとてつもなくシリアスな思考回路を持っていて、常に自分と世界との関わり、音楽の行く末、などについて真剣に、かつ本質的な思索をしている人だと感じたのです。
そうやって考えてみると、ナンセンスなオブジェの数々の中にも、どこか孤独で、寂しげな影を感じることができます。ふくよかな存在感より、華奢で頼りなさげな感じがするし、場合によっては気味悪いものさえあります。機械の精巧さや動作の面白さだけでなく、デザインセンスにも卓越した感性を持っています。

こんなことを言うとおこがましいのだけど、いろいろな意味で私自身に通じるものがありました。
そもそも、生年が一つ違いで(土佐氏は私より1歳若いだけ)、学生時代よりアナログシンセ、デジタルシンセ、冨田勲、DTMとはまっていく過程は、もう私そっくり。物づくりにどこまでも没頭したりする感じもすごい共感できるし、ガチャコンというオブジェなど見ると世代的な共感もあります。
何より、シニカルでシュールな芸術センスは、クソ真面目な題目をクソ真面目にしか演奏できない日本人音楽家からは生まれない独特な世界観を表出しており、そういった表現方法を私もまた模索したいと思っています。

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