2005年10月19日水曜日

指揮者視点で歌う

私はベースですが、合唱におけるベースの泣き所は高音ではないかと思います。男声の場合、あきらかに実声と裏声の変わり目がはっきりしている人が多く、その直前の音域では咆え声になる人は結構多い。小さな音量で実声で高音を出すのは、恐らくベースが一番下手なのではないでしょうか。(あくまで一般的に)
曲にもよりますが、そういった箇所ではどう歌うべきでしょう。きちんと歌えない自分がいやで、意地でもきちんと歌おうと頑張る人もいることでしょう。確かに3回に1回くらいの確率できちんと歌えるかもしれないけど、それじゃ演奏を聞かせるには忍びない。
もちろん、指揮者の指示があればそのとおりにすべきですが、うまく歌える確率が低い場合、あえて歌わない(あるいは、裏声で抜いてしまうというような)という選択肢もあるはず。もちろん、歌い手としては困難から逃げているように感じるかもしれません。それでも、無理して歌うより歌わない方がまし、ということは、正直あると思うのです。
実際、歌わない、というのは極端すぎますが、それでも今合唱団全体の中で、自分がどのような音を出すべきかということを考えて歌えば、別の歌い方がある場合だってあります。ただ、そのように団全体の音楽を考えて歌うのはそんなに簡単ではないと思います。
恐らく、そんな風に考えることができるのは指揮者経験者だけじゃないかとも思えます。指揮をしたことがある人は、指揮者が何に苦労するかも知っているから、歌い手として不本意なことでも受け入れるだけの素地があるのです。
ときどき、自分の声楽的満足感を満たすために合唱をやっているような人も見かけますが、実はそういう人が一番たちが悪かったりします。いい演奏のためには、もっと一人一人が指揮者の視点で歌うべきなのですが、それを実感してもらうにはどうしたらいいのでしょうね。

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