2014年6月15日日曜日

未来のDAWを考えてみる

DAW(Digital Audio Workstation)とは、PC上で使う今どきの音楽製作用アプリケーションのことを言います。
たいていの場合、トラックを複数作ることが出来、各トラックにオーディオを貼り付けたり、ソフトシンセをアサインしてMIDIで駆動させたりします。
各トラックは、音量やパンニング、エフェクト設定などをミキサー風の画面で設定することが出来ます。
今ではこのDAW、オーディオを直接編集したり、MIDIを直接編集したり、ソフトシンセやエフェクト等のプラグインを読み込んで、その設定画面を表示したりするなど、音楽製作のあらゆる面をサポートする化け物アプリになりつつあります。


私が、現在のDAWでイヤなところは、まさにこういう何でも出来るというごった煮的なところです。
音楽を作る、という行為にはいろいろなプロセスが含まれます。大雑把に言えば以下のようなプロセスが考えられます。

  1. 曲構成や楽器の選定
  2. 演奏情報の入力、編集
  3. エフェクト、ミキシング、マスタリング

もちろん、もっと細かく分けることも可能でしょうが、自分の中では上記三つは作業として大きく異なっているように感じます。

音楽製作のアウトプットがオーディオ情報である以上、上記3の作業まで必要なのでしょうが、ある意味最も音楽的素養が必要ないのが3の作業でもあります。もちろんあるに越したことは無いけれど、3の作業はいわゆるレコーディングエンジニア的な作業であり、それはそれで大変奥の深い世界です。むしろ、それを苦手とする音楽家は多いと思います。

ところが多くのDAWは、特に最終段の3の作業が最も重要な仕事となるようにアプリの仕様が考えられているように思えます。
普通にピアノを弾いたり、楽譜に音符を書いたりしている人たちの中で、本当はこういったエンジニア的な業務は避けて通りたいと思う人も多いのではないでしょうか。
であれば、3の作業を別アプリで出来るようにしたり、あるいはある程度決めうちでそこそこの音を出させるようなアプリの仕様を考えることだって可能なように思えます。


私にとっては、やはり1や2の作業が中心となるDAWってないものかと思うのです。
その場合、ミキシングはざっくりやるか、別のDAW用にエクスポートしてしまえば良いのです。

逆に今のDAWのようなミキサー画面を中心とするのではなく、この音楽にはどのような楽器(パート)が使われるか、といった考え方を中心の画面にしたいです。
例えば、バンドならステージの上にギター,ドラム、ベース、ボーカルのような楽器が配置されます。そう、まず思い付くのはGarageBandのような画面です。あれをもう少し音楽家専門のアプリとして洗練させたいのです。
また、オーケストラなら、舞台上に各種のオーケストラ楽器を配置します。
他に、シンプルな弾き語りとか、室内楽とか、ジャズトリオとか、そういった楽器編成の形態を一番メインの画面でうまく見せるべきです。

音楽は基本的に時間軸をベースに作るので、右方向に時間軸が進んでいくような画面がメインとなることに異論はありません。
ただし、今のDAWでミキサーのトラックのように見えているものは、各楽器のパートのように見えるべきだし、また生の波形を見せる必要は全くありません。
むしろ見せたいものは、MIDI的な演奏情報です。ただし、楽譜では微妙なエディットが出来ないので、いわゆるピアノロール的な表現がやはり良いでしょう。

ここまで書くと、今のDAWとそんなに変わらないじゃん、というツッコミもありそうです。しかし、オーディオでなく、音楽情報をベースに全体を作り替えれば、かなり雰囲気の違うアプリになるのではないかと私は思うのです。

例えば、音楽にとってテンポ、拍子、調性はとても大事なものですから、こういった情報を非常に扱い易くしてあげる必要があります。
また、拍以下のtickの表現ももう少し何とかならないかとは思います。
画像がピクセルで表現する以上、一拍を480まで分解出来るみたいな表現は必要になるとは思いますが、例えばこの数値表現はジャストの位置に対する差分情報にするとか、もう少し扱い易くする方法はあるのではないでしょうか。

また、楽器の演奏情報の入力も、楽器の種類によって多少異なっているべきです。
管楽器は1つしか音が出ないのだから、複数音が出るようなエディットが出来る必要がありません。ギターも6音で十分だし、そもそもコードストロークというような表現で入力したくならないでしょうか。一音ずつ入れてたら面倒過ぎです。
そして、ボーカルは・・・今ならボーカロイド専用エディット画面ですね。


みたいなアプリがあったらいいなと思うわけですが、こういうのは言葉にしてお互い共感しても、実際に考えだすと同床異夢ということも多く結局は欲しいと思った人が作ってみるべきなのでしょう。
とはいえ、自分の理想の音楽製作環境をいろいろと語り合うのは楽しそうですね。

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