2010年5月8日土曜日

21.人間の可聴域

発声の仕組みについて説明したので、次は聞く方です。
つまるところ、人は耳で言葉や音楽を聴くのですから、人の耳が聞こえない音を出しても意味がありません。
人の耳には、どのような音が聞こえて、どのような音が聞こえないかを知っておくことは、音を極めようとする人にとって必要なことでしょう。

人間の可聴域は周波数でいうと、20[Hz]〜20000[Hz](あるいは20[kHz])と言われています。
しかし、これはあくまで理想的な環境(騒音がない状態など)の場合であって、実際に我々が知覚している音はもっと周波数の範囲が狭いものと思われます。
また、人は老化すると高い周波数が聞こえなくなります。どんなに有名な音楽家でも、耳がよいと言われている音楽評論家でも、歳を取れば高音は聞こえなくなります。もちろん多少の個人差はあるでしょうが、自分が思っている以上に現実は残酷なのです。

公園で深夜たむろっている若者を追い払うためにモスキート音を流している、なんてニュースがありましたね。モスキート音は17[kHz]くらいの音。20代くらいまでの若者には聞こえますが、それ以上の年齢になるとだんだん聞こえなくなります。若者には不快な高い音でも、年寄りには何も聞こえないのです。
もちろん、だからと言って高齢者は音楽鑑賞に不利だなんてことは無いと思います。10[kHz]くらいまで聞こえていれば、音楽活動にはほとんど支障は無いのではないでしょうか。

ちなみに、電話は4[kHz]までの音しか聞こえません。その程度の音の品質でも言葉を伝えることは可能です。電話は、音が少々悪くても、回線の使用効率を考えた結果、このような値になっているのです。

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