2009年5月23日土曜日

みんなアーティスト

アーティストがアマチュア化するなら、巷にいるアマチュア音楽家と何ら変わることが無くなります。これは、まさに「みんなアーティスト」時代の到来ということになります。
もちろん、これは音楽をやる誰もが人気アーティストみたいになれる、ということではありません。むしろ事態は全く逆で、レコード会社の方針や妙な業界の力学で音楽が評価されなくなる分、より評価が音楽原理主義になり、演奏の上手さ、表現の巧みさ、楽曲のオリジナリティが情け容赦無く批評されるようになるでしょう。
こういった時代に人々に必要な態度とは、仲間内だからといって上辺だけで褒め合ったりするのでなく、自らの芸術観を個々人が確立した上で、誰に対しても自分の意志で明確な音楽批評が出来ることです。
残念ながら現状ではアマチュアのほうが自尊心が強くて(批評慣れしてなくて)、他人に自分の音楽を批判されると怒る人も多い。中には「一生懸命やった人に対して、そんなことを言うのは失礼だ!」と言わんばかりの人もいます。
失礼のある言い方も問題ですが、他人の批判を謙虚に受け取ることが出来ない音楽家は、恐らくいつまでも成長することは無いでしょう。

まあ、何はともあれ、「みんなアーティスト」時代というのは、決して悪くない時代だと思います。
恐らく最初は芸術の質が落ちた、という人も出てくるでしょう。しかし過去の偉大なアーティストしか愛せない保守的な態度もまた、批判の対象になり得ます。
芸術活動は常に同時代的であるべきだし、もちろん過去から学ぶべきものは山ほどあるとしても、今生まれている音楽、そして芸術を評論する力は、その世界に生きようとするなら必須なものです。
そして、ビジネス縛りが無くなって、本当に、純粋に、音楽そのものの力が試される、そうなったら本当に面白い世の中だなあ、と私は思うのです。

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