2006年4月2日日曜日

歓びを歌にのせて

スウェーデンで大ヒットした映画。浜松では三日間だけ上映があり、見てきました。
全日本合唱連盟も後援している合唱を題材とした映画です。
内容は、著名な指揮者ダニエルが体調不良で引退しますが、隠遁先の村の聖歌隊の指導をすることになります。彼の指導によって聖歌隊のメンバーの気持ちにいろいろ変化が起こり、そして聖歌隊はコンクールに参加することになり・・・というような展開。

このあらすじだけ見ると、「天使にラブソングを」とか「スウィングガールズ」とか、ああいう雰囲気を思い浮かべるわけですが、さすがヨーロッパ映画、一味も二味も違います。
何というか、映画作りにおける時間感覚の違い、というのが根本的な部分にあるんですね。ヨーロッパ映画ってリアルな日常を、ほんとうにリアルに描こうとする。もちろん、映画だから過剰な演出もあるし、デフォルメする部分もあるわけですが、常に観る人を飽きさせないようなスピーディな展開とか、メインキャラクターの力強さでぐいぐい引っ張るようなそういうハリウッド映画的なほうには決して向かいません。
何が過剰かって、各登場人物が、"みんなの前でそこまで言うか~?"みたいなことをバンバン言っちゃうところ。いい年をした大人が「ずっとお前は小学校の頃からそうやってボクのことをいじめてきたんだ」って突然キレたり、聖歌隊のおじいさんがおばあさんに「実は、私は小学校の頃からあなたが好きだった」と言い出したり。なぜか、トラウマが全て小学校から始まっているのも可笑しいです。

それはともかく、この映画の面白さは、一人の芸術家の出現が、保守的だった村の人の心を少しずつ変えていくその過程にあるのでしょう。別にダニエルは全然かっこいい感じでもないし、人々をがんがん引っ張るようなカリスマ性があるわけでもない。社交的じゃないし、衝動的な一面もある。ある意味、不器用な性格なわけです。
しかし、だからこそ、彼が伝えようとする音楽の精神的な側面が、聖歌隊のメンバーの心を侵食していくわけです。音楽をすることが、生活の中で抑圧されてきたそれぞれの想いを解放することに繋がっていきます。そういう音楽の効能を、リアルに描いているっていうのが、この映画の最大の見所でしょう。
映画そのものの肌触りは巷でよく見る映画とはずいぶん違うけど、音楽が人々の心を解放するという普遍的なテーマはやはり観る人を感動させるものですね。

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