2006年4月8日土曜日

プロコフィエフ ピアノソナタ7番

プロコフィエフのピアノ協奏曲のCDにおまけのようについていたピアノソナタ7番。最初に聞いたときに「変な曲」と思って以来、ずっと聞かず嫌いだったのですが、最近になってちょっとお気に入りになってきました。
プロコフィエフのピアノソナタの中では一番の人気作だし、解説書によれば二十世紀のピアノ音楽の最高傑作の一つとさえ言われている有名な作品。
ただ、プロコフィエフの一番過激なところが強調されていて、正直言って、一般の人から見ればかなり前衛的な感じがすると思います。何といっても、主題がほとんど無調っぽい。十二音の音列から出来ていると言われると信じてしまうくらいです。
しかし、一度そのプロコフィエフ的鋭角な旋律の中に潜む美的感覚にはまると、不思議と心地良く感じてくるようになるのです。楽曲の形式はむしろ古典的なくらいで、主題の回帰も非常に分かりやすいのです。荒々しいまでのリズムと、透徹したリリシズムの対比がまた素晴らしく、曲全体がうまく引き締まっています。
とここまで書いたのは、第一楽章の話。
第二楽章もなかなか叙情的でいいのだけど、何といっても面白いのは第三楽章。
7/8拍子で一気に駆け抜けるこの楽章、クラシックというよりはプログレです。これはすごい!これをベースとドラムとハモンドオルガンかなんかで編曲すればELPみたいな音楽になるかも。音もちょっとポピュラーっぽいというか、ブルースっぽい感じさえします。
左手に現れる「ダッダーッダッ」(曲知っている人しかわからないかも~)が、全体のビート感を締めていて、この曲の特長的なフレーズになっています。ここをいかに強調して弾くかが演奏家に問われることになるでしょうね。
この緊張感の持続を強要するような、どこまで聞く者の耳を捉えて離さない吸引力はほんとに感嘆に値するのです。

4 件のコメント:

  1. いい曲ですよね。
    この終楽章を聴いてプログレだぁ、と思われたのは興味深いです。ワタシは逆でしたから(^_^;)
    プログレを聴いて、「わぁプロコフィエフだぁ」とか「げげ、これってバルトークちゃうん」と思うことはしばしばでした。
    個人的には8番のソナタが一番好きなのですが、6番、7番、8番という、一連のいわゆる「戦争ソナタ」は、確かに20世紀ピアノ音楽の傑作と言ってよいと思います。
    ��番はポリーニ、8番はギレリスの演奏がすりこまれております(^_^;)

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  2. つまり、どちらを先に聞いたか、ということなんでしょうね。私の場合、プログレが先だったわけです。
    で、実は、7番以外聞いたことない・・・
    ��あんまりピアノ曲を聴かないもので^^;)
    戦争ソナタと言われる3部作全部、そのうち聞きたいと思います。

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  3. ワタシの場合、プロコフィエフはまずシンフォニー(特に中学時代のお気に入りは7番でした)から入り、次にヴァイオリンソナタの1番が気に入って、その時にたまたまオマケで聴いた「束の間の幻影」というピアノ小品集が好きになり、それが収められているレコードを探していたら、ギレリスが弾いていたピアノソナタの8番とカップリングされていた(但し抜粋)ので、それを買い、そしたら今度はソナタにハマった・・・という経緯があります。
    で、当時高校の同級生たちがやっていたのがプログレのコピーで、たまにライヴの手伝いとかもしていた縁でプログレも聴くようになった・・・という順番ですね。
    そのバンドでキーボードを担当していた男は、実は現代音楽の作曲家に師事していたことがあり、変態的なピアノを弾く男でもありました。リクエストするとクセナキスなんかをちょろちょろっと弾いてくれたりしたものです。二人で甲斐説宗追悼コンサートに行って、サンダル履きの高橋悠治の演奏を聴いたのが懐かしい(笑)

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  4. 人に歴史ありですね。
    私がプロコを聴き始めたのは、冨田勲の「バミューダトライアングル」からだったかなあ。(知る人ぞ知る、プロコフィエフのシンセ演奏バージョン)
    今でもヴァイオリン協奏曲は大好きなのです。

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