2006年1月14日土曜日

鑑賞してますか

朝日新聞の「鑑賞してますか」という連載、なかなか面白かったです。
特に10日付の「総クリエータ時代」という見出しのやつは興味深かった。最近、自費出版がとても増えているのだそうです。出版費用はもちろん筆者負担ですが、装丁も充実しており、流通用のコードもついて普通の出版物と同じように取り寄せが可能なのだとか。
ネットでは、誰もが音や映像を配信することが可能になり、その気になればラジオ番組、テレビ番組さえ、個人が発信することが可能です。

鑑賞者であることをあっさりと飛び越えて、作る側に回る人が増えているのはなぜか?
記事の中では「そもそも日本では、純粋に芸術をみる鑑賞者は非常に少なく、特に地方では文化教室での自己表現が中心。展覧会や発表会も先生の作品を見に行く場合が多い」と書かれています。
崇高、高尚な鑑賞体験より、作る、あるいはイベントに参加して仲間を探す・・・こういった我々の傾向が、ネットでより強調されているのかもしれません。

まあ、実際クリエータの真似事をしている私としては返す言葉もないわけですが、小説を書いたり、作曲をしたりとまで行かないにしても、上の話は合唱にも当てはまるような気がします。
鑑賞者としての十分な体験がないにも関わらず、自ら演奏活動を楽しんでいるような人はたくさんいることでしょう。合唱団で活動するのは、所詮、自己表現の一つであり、実際各団員は、鑑賞される演奏者としての自覚には乏しいような気がします。
合唱団のコンサートに来てくれる人も結局、団員の友人、親類縁者です。その人たちは、海外の有名合唱団のコンサートには間違っても聴きには行かない。知り合いだから聴きに行っているわけです。
でも、その文化活動の質を高めるには、どうしても一人一人の芸術に対する審美眼が必要です。そして、そのためには各人の芸術鑑賞の体験がもっと必要なのですが・・・

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