2005年7月21日木曜日

芸術家論 「身を削る」度

何かと物事を二つのベクトルに分けて考えるのが好きな私ですが、今日は、ちょっと変わった視点で、芸術家を分けてみましょう。
名付けて、芸術家の「身を削る」度。
芸術作品を仕上げようとする場合、その芸術家がどのような態度で創作活動に向かうか、その心境を考えてみてください。例えば、創作しようとしている作品世界がどこまでもその芸術家の精神世界とつながりを持っているような人、逆に言えば、その人の精神的世界の束縛から作品が離れることが出来ないようなタイプの芸術家を「身を削る」度が高いと呼びましょう。
なぜ、これが「身を削る」かというと、こういったタイプの人々は、あたかも一生のうち使い果たせる生命力の総量が決まっていて、その生命力を削りながら、作品を作っているように思えるからです。
逆に、様々な技法を駆使し、作品を鑑賞する人たちへのサービス精神が旺盛で、なおかつ依頼主の要求に良く答えることができるようなタイプの芸術家は、職人性が高いと言えるでしょう。
もちろん、最初のような「身を削る」タイプと職人タイプが、全く別方向のベクトルを持っているとは言いませんが、かなりの確率で、その方向性は背を向き合っているような気がします。

「身を削る」タイプの芸術家は以下のような特徴があると思われます。
基本的に短命。あるいは病気持ち。精神疾患がある。自殺する人が多い。寡作である。自分の身の回りの事件が作品の内容に大きく影響する。どの作品も雰囲気が似ている。内向的で人間嫌い。なぜか貧乏。
逆に、職人タイプのイメージはこんな感じ。
多作。生命力が強い。子供をたくさん作る。テレビにも良く出る。社交的で社会的にも成功し、金持ちになる。様々なタイプの作品を作る。

まあ、誰もがはっきりどちらかに分かれるわけではないけど、誰がどちらか考えると面白いですね。
普通、自分の幸せを考えれば職人タイプに憧れるけれど、「身を削る」度が高いと、妙に卑屈になって、どんどん職人から遠ざかろうとする気がします・・・

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