2004年11月6日土曜日

フロー体験

たまたまちょっとした折に、「フロー体験」という言葉を聞いて、興味深かったので、その紹介をしましょう。
フロー体験というのは、ごく大雑把に言えば、あることに熱中して、寝食も忘れ、没頭しているような状態のことを言います。
このような体験には、以下のような特徴があります。

明確な目標とフィードバック
 目の前にこれをやりたいという明確な目標が存在していて、それをやりながら常にその結果をフィードバックでき、対応を調整できる。
能力とのマッチング
 ちょうど自分の能力に手頃な内容で、かつ自己表現として他人に認めてもらえる状況にある。
注意の集中
 その状態にいるとき、非常に強く集中している。
統制感覚
 自分がやっていることが全て統制出来ているという感覚がある。
客観的意識が無くなる
 それをやっている自分自身を客観的に認識することが無くなり、自分がやっていることに全ての感覚が集中している。他のことに感覚が向かない。
時間感覚の喪失
 時間の感覚が無くなり、ふりかえってみると時間が速く去ったように感じる。
自己目的的経験
 その行為から生ずる報酬のために行うのではなく、その行為自体が大きな快楽であり、自分に対する大きな報酬となっている。

たまたま、この話を聞いたときは、画家が絵を描いているとき、このような状態にあると言っていました。
ただ、そのときの話ではこのような体験をしたことがない人は 1/3 くらいいて、逆に 1/5 くらいの人は日常的に経験しているとか。要するに、こういった体験が出来ることは、その人のパーソナリティに依存していると言えるでしょう。

もちろん、私もこういった感覚の中に身を置く楽しさを知っているつもりです。あらためて、フロー体験という言葉として定義されると、自分がやっていたことの本質がちょっとわかってきたような感じがします。恐らく、多くのクリエータの人が日常的に体験していることなのではないでしょうか。
重要なのは、最後の自己目的的という特徴です。
芸術家が芸術作品を作り上げたいと思う気持ちは、その行為自体が持っている快楽にあるのではないか、というのは中々興味深い示唆です。芸術作品を作る動機というと高邁な目標や、神がかり的な精神状態で表現されることが多いですが、それはまさにこのフロー体験という言葉で表すことができるものなのではないか、とそう思えます。

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