合唱におけるエンターテインメントの話題、微妙にホットな感じなので、調子に乗ってもう少し考えてみましょう。
たいてい合唱団の演奏会でエンターテインメントといえば、流行曲やアニメソングなどの合唱アレンジのステージといったところでしょう。もちろん、これだって構成やアレンジや演出に凝れば、質の高いエンターテインメントのステージを作ることができるはずです。まあ、たいていはそこまで出来る人材が団内にいないわけですが・・・
実際、エンターテインメント=お楽しみステージ、みたいな発想では、上のような選曲のステージをすることくらいしか思いつかないのですが、私の言いたいところのエンターテインメントというのは、もっと根本的な演奏に対する表現者の姿勢のようなものなのです。
簡単に言えば、聴衆を、すなわちお客様を、どれだけ満足させられるか、というこの一点につきます。全ての考え方をここから逆算して考えるのです。
ですから、当たり前ですが、美しい発声で歌うことも、正しいピッチで歌うこともエンターテインメントにつながります。それは聴衆に感銘を与える演奏になるからです。
そして何より大事なのは、今演奏する曲の内容を聴衆にしっかり理解してもらうことです。曲の理解なくしてお客様が楽しめるわけがないのです。その辺りをショートカットしたいという誘惑が、ポピュラーステージに繋がる訳ですね。
だから、歌い手が曲を理解していなければ、お客が理解できるわけが無いし、誰も理解できない曲なら、そもそも演奏する必要などないのです。
曲の内容を伝えるために、例えばちょっとした演出があったり、所作があったりしたって構わないのです。お客が曲を理解する補助になるのなら、どんなことでもするべきです(ちょっと前に盛り上がった字幕とか)。
先日のノルディックボイセスの現代曲も、(正直意図はわからなかったけど)演奏の演出が楽しくて、お客を十分に引きつけることに成功していました。バリバリの現代曲だって、良質なものなら多くの人が楽しめるはずなのです。それでなければ、演奏会でやる意味がない。現代曲は難解、という発想そのものが私は嫌いです。演奏する側も聞く側も理解できない音楽にどんな楽しみがあるというのでしょう。まあ、わからないことを楽しむというひねくれかたもあるのかもしれませんが。
聴衆に感銘を与える、満足してもらうためには、もちろん様々な局面があります。
ほとんどの聴衆が日頃合唱を聞いていない人ならば、今自分たちが披露しようとしている合唱曲の魅力をどのように伝えるのか、それをもっともっと考えなければなりません。それは、自分たちがさらに合唱について勉強することにもつながります。
そして、そのもっと前の段階、そもそも選曲の段階で、聴衆に楽しんでもらえる曲を選ばなければなりません。これが今のところ最も大きな問題です。聴衆まで楽しんでくれるような合唱曲が、今の邦人曲にどれだけあるのか、と思うかもしれません。でも、たくさんあるはずですよ。それを探す眼こそが、技術スタッフに求められているのです。
不肖、この私も、エンターテインメント性を求めた曲を作り続けているつもりなんですけどね・・・
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