正直言って、拙作はなかなか演奏機会も少なく、これまで委嘱も数えるほどしかありませんから、私にとって久し振りの委嘱初演だった昨日は、本当に嬉しい時間を過ごさせて頂きました。
Twitterでも、何回かこの作品について言及しましたが、あらためてブログでも紹介しましょう。
本作品は、5曲からなる無伴奏の男声合唱組曲で、立原道造の詩集「萱草に寄す」からSONATINE No.1と題された五つの連詩をテキストとします。組曲のタイトルも「SONATINE」としました。
立原道造が軽井沢で出会った女性との恋心を綴ったこれらの詩には、ときに内向的で沈み込むような絶望的な心情が表現されています。男性なら誰もが心にチクッと突き刺さるような同様の痛みを思い起こすことでしょう。最初にこの詩を読んで、若さゆえの一途な恋心を、今の私の感性で表現してみたいと思いました。
結果的に、これまでの自作品の中では、どちらかというとタダタケ的なやや古風な価値観をまとった音楽になったような気がします。これまで拙作は、やや突飛なアイデアや、奇抜なテーマをテキストにしていると思われているフシもありましたが、そういう意味では、逆の意味で、えっと思われるような曲調かもしれません。
曲全体はなるべく難しくならず、またディビジョンを全く廃して、少人数の合唱団が取り上げやすい作品になることを心がけました。
ただ、後で歌った皆さんの感想を聞くと、やはり音取りや音域などに苦労されたようで、結局は骨のある作品になってしまったのかもしれません。
特に第3曲目は、邦人作品には珍しいボリューム感のあるフーガが中盤にあります。これは作曲にも時間がかかりましたし、自分でも書きがいがあると感じた箇所です。
初演の練習にはいろいろ苦労もあったかと思いますが、本番では素晴らしい演奏を聴くことができました。お世辞抜きで、私にとって最上級の初演だったと思っています。本当に幸せな時間を過ごさせて頂きました。
松下耕先生、そしてアンサンブルプレイアードの皆様、このたびの委嘱及び初演に、あらためまして御礼申し上げます。
さて早速ですが、この作品のPDF楽譜の販売ページを作ってみました。興味のある方は、是非楽譜を見てみてください。以下のページです。
http://jca03205.web.fc2.com/FC2/Data_Store.html
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