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2019年5月3日金曜日

Maker Movementの挫折

Maker Faireは確実に広がっている。出展者も増えているし、毎年観客も増えている。そういう意味では、Maker Movementの広がりは確実に進んでいるとも言えるのだけれど、当初、私が熱狂したような広がり方の予想からすると、随分歩みは遅い。むしろ、幻滅、あるいは挫折に近い感覚を持っている。
Maker Movementはある意味、個人の経済的、社会的自立を意味していた。
しかし、2012年にMaker Movementの可能性を感じて以来、Makerは単なる趣味でしかなく、それ以上のものになっていない。

ファブ地球社会コンソーシアムで田中先生曰く、ほとんどのmakerの興味はMaker Faireに参加することであり、現実はそのためのプロジェクトを回すことで精一杯であり、社会的な問題解決のための活動とは程遠いところにいる。
問題解決は社会に役立つということであり、それは必ず経済的価値を生むはずなのだけれど、そこに至らないのだからMakerは社会の経済的循環の中に位置を見いだすことができない。

確かに私は楽観的過ぎたかもしれない。
自分のつくりたいものを作って、それが売れて商売できたら嬉しいのは誰もが思うことだけれど、それが成り立つためには、人が欲しいものを売らなければいけない。
ほとんどのMakerにとって、それは全くリアリティに欠ける現実で、どうせ売れないんだから一発ギャグ的な作品でいいじゃないか、という逃避の姿勢を生んでしまう。
結局、Maker Faireは一発ギャグの消費の場にしかならない。
持続的にMakerが自立するためには、もっと綿密なマーケティングと、譲歩の姿勢で市場にコミットする意識が必要だけれど、そうなるともはや趣味でなくなり、日常のお仕事と変わらなくなる。それが嫌だからこそ、Maker活動してきたのにである。

まだそこには大きな隔たりがある。
その隔たりは何か、それを超えるにはどうしたら良いか、そこについてもう少し考えなければいけない。
他人に対する価値提供として、いくつか軸があるのだと思う。
例えば、アートと機能軸。マーケットのベクトル軸(マスかニッチか)。社会問題と趣味軸、ローカルとグローバル軸。このくらい考えればいいかな。

とりあえずここまで。

2016年5月22日日曜日

Maker Movementの歴史的意味 その2

今日書いてみたいことは、モノづくりや人に対するサービス以外の、事務的、管理的な仕事は遠くない将来にほとんど無くなってしまうだろう、という私の予想についてです。
AIの発達で色々な職業が消えて無くなる、といった話が最近あちらこちらで聞かれます。どんな職業が消えてどんな職業が残るのか、といったことを考えてみると、最後の最後には有史以来のプリミティブな職業だけが残るのではないでしょうか。


◆◆◆

仮に、モノづくり、人に対するサービスを直接的業務と呼ぶこととします。
それに対して、上記以外の仕事を間接的業務と呼びます。
直接的業務は、もちろんモノを作って売るといった行為、それから、飲食業、医療、教育といった職業が考えられます。
その一方、間接的業務とは、マネージメント、品質管理、会計・金融関係、法律関係、政治といった仕事です。もちろん、ここで言っている間接的業務の中には、人に対するサービスも入っているわけですが、私が上で言っている直接的業務とはもっと人が生存するのに必要なサービスといったイメージです。間接的業務とは、人類の文化が発展するに従って増えてきた職業たちです。

◆◆◆

もちろんモノを作るにも、大勢の人が関われば、進捗管理などのマネージメントが必要になったり、予算や経費など会計的な仕事も増えてくるだろう、というのが一般的な常識でしょう。
しかし私は、大規模な設計、開発プロジェクトであっても、これからはマネージメントに必要な工数や会計処理の工数は激減すると思うのです。
すぐには難しいですが、そのような流れはだんだんと起きてくるのではないでしょうか。そして、その初期の実証がMaker Movementなどで培われるのです。

◆◆◆

恐らくAIは、品質管理など多くの知識と経験を持った人が活躍していたであろう仕事のスキルを、あっという間に習得し、このような職業にどんどん進出していくでしょう。最初は製造するモノの品質や、サービス内容の品質をチェックするように指示されていくでしょう。
ただそれはいずれ設計した人、サービスを提供している担当者の個人的な評価と結びつけられることに繋がり、人々はAIが他人のスキル、能力を評価するシステムへと変貌を遂げつつもそれを受け入れざるを得ない状況に追い込まれると思います。
つまりAIは人を評価するために利用されることになる気がするのです。

◆◆◆

Maker Movementは仲間で何か面白いものを作って社会に貢献しよう、といった素朴な正義感がベースになることが多いのですが、民主化されたツールによって最終的に作られた製品の面白さがどこまでも民主的に評価され、そして優れたものが利益を上げるような構造に向かわざるを得ないと思います。
それはコミュニティを形成して、みんなで一緒にイノベーションを起こそう、というメンタリティとは違い、むしろ他人の才能に嫉妬しながらも、それを受け入れるしかない心性が要求されるようになるのではないでしょうか。

そのような公平な個人評価が実現されれば、マネジメントの負荷はかなり減ります。
そもそも最初からプロジェクトの成功を危うくさせる人を雇うことは無くなるでしょうし、開発者の特徴が明確になっていれば、その人に対するマネージメントもきめ細かく行うことが可能になり、しかもそのような仕事自体がAIによって可能になってしまうでしょう。
◆◆◆

人を管理するコストは、個々人の客観的なパフォーマンスが明らかになることで、どんどん下がります。
会計も入出力金額のインプットさえきちんとされていれば、適切に仕分けされ、なおかつどのようなお金の使い方が良くないのか、過去事例も交えてAIが教えてくれそうな気もします。
また人のあらゆる行為が電子化されクラウド上で管理されるのであれば、法律を守っているかチェックする機能さえ、クラウド上で実装可能となるはずです。
選挙だって電子でOK。もっと言うと、直接民主制となり誰もが重要法案に対して、Web上で投票できるようになっているかもしれません。それは政治家の必要性さえ揺るがすことになるはずです。(一般意志2.0)

このように間接的業務はますます世の中から無くなり、直接的業務だけが最後に人に残された仕事になるような気がしています。
Maker Movementとは、まさに作りたい人が作る、究極の直接的業務を志向しているように見えるのです。

◆◆◆

もちろん、国が違えば常識も変わるし、AIでどのような職業が取って代わられるのかは、私にも完全に予見できているわけでもなく、じゃあどのようにすればいいか、について答えることは難しいです。
それでも、Maker Movementが少しずつ人々の行動を変え、そしてそのようなエコシステムの中で社会を大きく変えていくきっかけになるであろうことはかなり確信しています。

2016年5月17日火曜日

Maker Movementの歴史的意味

ちょっと思いついたことを書いてみます。
Maker Movementは、単に個人のモノづくりがブームになった、以上の大きな意味があるのではないか、という話です。

◆◆◆

「個人のエンパワーメント」という視点でこれまでの技術の発展を眺めてくると、パソコンの出現というのは大きなイベントだったと感じます。
産業革命以降、工業の発展はまた分業の発展でもあり、分業化、専門家で社会は大きく効率化されました。大量生産された工業製品は人々の暮らしを潤し、そして人々はまたそのような大きな組織の歯車の一つとして、分業のシステムに組み込まれていました。

分業による効率化はパソコンの出現をターニングポイントとして、少し様相が変わっていきます。今まで人手を割いていた多くの仕事が自動化されるようになったのです。
それと同時に、その道一筋の専門家のスキルがコンピュータの機能としてインプリメントされ、誰もがアクセスできるようになりました。
少なくともデスクワークの世界においては、面倒なことがパソコンで圧倒的に簡単に済むようになったのです。

◆◆◆

分業から自動化へ、あるいは職人技の一般への解放へ、こういった流れは、単純な作業から人々を解放しましたが、それと同時により上位の判断力が働く人に求められるようになりました。
何かを生み出したい、巨大なシステムを作りたい、そういった野望を持つ人にはとても喜ぶべき社会が実現しました。
今では、パソコンを使えば、大量の会計処理もあっという間に終わり、動画やアニメーションが簡単に制作でき、音楽も高品位な楽器音を使って誰も演奏せずに制作でき、またそういった作業をプログラミングで全自動させることだって可能です。

パソコンは個人のエンパワーメントに大きな影響を与えたツールでした。
そして、そのような世界において、パソコンを使いこなすことは、会計や動画や音楽や文学といった多くの専門的な領域に誰もが簡単に踏み込むことができる、逆に言えば、そういった領域に踏み込まざるを得ない状況に追い込まれる、便利さと同時に使う側にリテラシーが要求されるということでもあったのです。

◆◆◆

Maker Movementがなし得るであろうことは、パソコンで起きたことのリアルモノづくり版です。
パソコンは所詮、デスクワークを自動化、効率化したに過ぎません。
しかし、Maker Movementでは、3Dプリンタ、レーザーカッタ、ミリングマシンなどの工作機械がパソコンに繋がれ、パソコン上で設計されたリアル世界に変換するデータは、工作機械で現実化されます。
そして、近い将来、今では多くの人がパソコンを持っているのと同じく、3Dプリンタやレーザーカッタを持つようになるのです。

その昔、インクジェットプリンタは20万円もしました。今では2〜3万円もあればプリンタは買えてしまいます。
同じように、3Dプリンタやレーザーカッタは数万円で誰もが手に入れることができるようになると思うのです。

それまで印刷屋さんがやっていた仕事を個人が出来るようになったのと同様、日常生活で必要な部品を、自分で作ることが出来る未来が訪れます。
その時、切削用データの作成方法や、物性の知識、モノを組み合わせる時のクリアランス、などこれまでモノづくりの専門の人しか知らなかったような知識が、普通の人々に必要になってしまうのです。

◆◆◆

パソコンと同じく、できる人はどんどん一人で勝手に覚え、一人でモノづくりが出来るようになるでしょう。
また、何かを作り出したいと思うクリエイティビティは今後の社会において、重要な資質の一つになってくるに違いありません。
そして、これがMaker Movementの本当に大きなインパクトだと私は思うのです。



2015年9月21日月曜日

Yamaguchi Mini Maker Faire 2015に出展しました

Yamaguchi Mini Maker Faire(YMMF) 2015 に出展しました。場所は山口市の情報芸術センターYCAMという場所。
芸術センターというだけあって、建物の形もちょっと変わっています。


私の出展スペースはこんな感じ。今回は一人での参加なので、それほど展示物も多くありません。
内容はいつものMagicFluteに加えて、試作中のMagicShakerも基板のまま展示。今回も二日間、ずっと笛を吹いておりました。
MagicShakerはそこそこウケが良かったと思います。次回は何とか筐体を作って持っていきます。


今回は、土曜の17:30からMagicFluteのライブをさせてもらいました。
曲目は「大きな古時計」「ロンドンデリーの歌」「ふるさと」の3曲。(昨年のHMM用に作ったカラオケを使用)
会場全体にMagicFluteの音が響き渡ったと思います。こういう機会があれば、これからもどんどん出て行こうと思います。(今のところ写真とは無し)

私は自分のブースに張り付いていたので、ほとんど他のものは見れませんでしたが、いくつか見た中で面白かったものを紹介しておきます。
手を動かすと3Dのホログラムみたいな映像が動くという仕掛け。カッコ良かったので写真を撮っておきました。

なんとフロッピーディスクのモーターの音をMIDI音源にしてしまったというとんでもない代物。しかも8インチフロッピーなんですよ!

テルミンのような音を非接触でなく、矢印のコントローラを使って演奏する楽器。確かにテルミンっぽい音がしてました。

本物の生楽器です。廃材を使って作った打楽器やバイオリンなど。電子楽器ばかりやっていると、こういう方々が羨ましく思えます。

それから、FABLAB浜松の方々も来てました。彼らとは浜松ではない場所でばかり会ってる気がします。


懇親会では何人かの人と話をして盛り上がりました。

MFTには無い地方のMakerFaireの楽しみとは、こういった出展者同士の交流にあるような気がします。
東京以外のMakerFaireも今後も出て行きたいと思います!
(しかし、山口は一人で行ってもお金がかかります・・・)


2015年8月4日火曜日

MagicFluteを作ってみよう

MFT2015では、以下のようなチラシを配りました。

3万円というと、ちょっと割高感はありますね。3Dプリントは手軽になってきましたが、これが値が張っている原因となっています。

とはいえ、私がこれまで一人で開発してきたこの電子吹奏楽器が、何とか誰でも作れる形になりました。是非多くの人に触ってみてほしいです。
MagicFluteはMIDI Controllerですので、iPhoneの楽器アプリや、PCのソフトシンセ(GarageBandとか)につないで好きな音色を奏でることが可能です。
世の中にあるWind Synthというと、もうちょっと値が張りますから、手軽に遊べるWind MIDI Controllerとして何かと使い道はあるのではないでしょうか。

この「MagicFluteを作ってみよう」という別のブログを作ってみました
まずはどのように作っているのか、ぜひご覧になってください。
その上で、ちょっと作ってみようかな、という方がいましたら是非トライしてみてください!

2015年8月3日月曜日

Maker Faire Tokyo 2015に出展しました

Maker Faire Tokyo 2015(MFT2015)に出展しました。
MFT2015は、8/1-2に東京ビッグサイトにて開催された、年に一回のMakerたちの一大イベント。



私は奇楽堂という団体名で、これまでこのブログでも紹介してきた電子吹奏楽器MagicFluteを展示、試奏いたしました。
ブースはこんな感じ。




去年のOMMFでは一人だけでしたが、今年は水引さん、菅家さんという二人が参加してくださり、3人での出場。
水引さんは、ラズパイで物理音源を作ってくれました。菅家さんはBLE MIDIでMagicFluteを無線化してくれました。

二日間、笛を吹きつつ、覗き込んでくれた方々にひたすら説明。
疲れたけれど、充実の時間を過ごすことができました。

ちなみに私たちの隣のブースは、あのウダーでした!




浜松からきた他のチームでは、R mono Labのリコーダーによるパイプオルガンが大人気。このアイデアには本当にやられた!と思いました。
なんと、私のMagicFluteから出力したMIDIで、リコーダーパイプオルガンを鳴らすというコラボレーションも出来ました!




その他の浜松組からは、Yara:MakersさんのラブキテルとArduinoシンセ

FabLab浜松さんの合鴨ロボットプロジェクト

そしてデザイン寮のループテーブル


懇親会ではその場で知り合った方々と、意気投合して盛り上がったこんな場面も・・・


今回は、「MagicFluteを作ってみよう」というチラシを配ってみましたが、今のところ、反応は無し・・・
残念ですが、現実はまぁこんなものかもしれませんね。

これから、地道に何回もMaker系イベントに参加しながら、いつも変な楽器を演奏している名物オジさんと認知されるように頑張っていきます。

2015年3月21日土曜日

プリント基板製作に挑戦

久しぶりにMagicFluteの制作報告。

PICにはいろいろ苦労しましたが、一つずつ問題をクリアし、MagicFlute内に収める電子回路を製作。以下の写真がユニバーサル基板を使って自力で作った電子回路です。


写真は2台分写っています。左側から出ているケーブルは気圧センサに繋がっています。気圧センサは笛の吹き口の中に装着され、吹いた時の息の強さを気圧で検出します。

緑のユニバーサル基板の中にある二つの赤い基板は、左から加速度センサと、タッチセンサ。
そして、基板の一番右側にある薄緑の基板がCPUであるPIC18F14K50のモジュール。さらにそこからタッチシート用のケーブルと、フルカラーLEDへのケーブルが出ています。

基板は電源とI2Cを繋げる程度なので、それほど複雑な回路ではないのですが、それでもこの回路をユニバーサル基板で作るのには述べ数日かかっています。
老眼で小さいものが苦手になっているのにも関わらず、数ミリピッチの電子基板をハンダ付けするのはかなりしんどい作業。

私自身は基本ソフト屋なので、電子工作は嫌いではないけれど、そこそこの規模の回路になってくると正直楽したいと思ってしまいます。


ということで、プリント基板の製作に挑戦してみました。
プリント基板を作るのは完全に素人なので、そんな立派な回路でなく、今までユニバーサル基板で作ってきた程度の回路がプリント基板で作れれば十分。

プリント基板製作用のアプリを探していましたが、いろいろ試した結果、Fritzingというアプリを作ってみることにしました。
何と言っても初心者向けで、ドラッグ&ドロップと直感的なGUIですぐにそれっぽい基板図が作れます。

さっそく作った基板図がこちら。(初めて作ったので、やや恥ずかしいけど)


いずれも既存のモジュールを刺すだけなので、穴と線が引ければ十分なのです。表面実装とかあったらもう私にはお手上げです。

データをここまで作ったら、早速プリント基板を作ってみたくなります。
これもネットで検索して、いろいろな見積もりサービスを発見したのですが、国内のサービスはいずれも3万円程度。
たった数枚作って、しかも動かないかもしれない初めての基板を発注するのに、数万円はちょっと痛すぎ。

海外のサービスなら安い、という話はよく聞いていましたが、そういうリンク集から辿って見積もりをしてみるとビックリ!
桁が一つ違います。SpeedStudioというところで$35、OSH Parkというところで$24。
数千円じゃないですか。時間がかかってもいいので、一番安かったOSH Parkに発注してみることにしました。

以下、OSH Parkに発注してから、基板が到着するまでのメールでのお知らせを紹介しましょう。
2月28日:OSH Parkに基板発注。直後にPaypalで支払い。
3月1日:受注しました、というメールが送られる。
3月3日:データを工場に送った、というメールが送られる。
3月11日:基板が到着した、というメールが送られる。
3月11日:基板を送った、というメールが送られる。
3月19日:ウチのポストに届いた。

こまめに進捗をメールで送ってくれるのも信頼性がありますね。
ということで、実際に送られてきた基板はこちら。


OSH Parkはアメリカの会社のようですが、基板は中国で作っているのではないかと予想しています。
それにしても、たかだか3000円程度で中国で作って、アメリカに渡って、日本に到着、なんてよく元が取れるものです。それに国内の基板作成サービスは全部日本なのに3万円もするんですよ!

最近は電子回路をプリンターで比較的安価にプリントするような技術も出始めており、製造プロセスに大きな変革が起きているのを実感します。
電気製品の製造や流通のあり方まで、草の根レベルでどんどん変わりつつあることを思わず実感したのでした。


2014年12月23日火曜日

PICに挑戦!

ここ1ヶ月ほど何をしていたかというと、ずっとPIC(ピック)と格闘していました。

PICとは何かというと、電子工作マニアの間では非常に有名な8bitマイコンなのです。
今までずっとRaspberry Piを使ってMagicFluteの製作を続けてきましたが、ここ数ヶ月ほど方針を変更して、一つのマイコンでセンサー検知と音源処理を行うのではなく、楽器操作部と音源部を分離することにしたのです。その操作部の製作のために、mbedを使い始め、そしてダウンサイジングの果て、ついにPICを使うことにしたのです。

mbedは非常に敷居の低い開発環境が魅力でしたが、CPUの能力としてはかなり高く、自分のやりたいことからするとややオーバースペックでした。たくさん数を作ろうとすると、値段も問題になってきます。もちろん、BLEを扱うならmbedなのですが、BLEの前にまず、普通のMIDIやUSB MIDIを扱おうとさらに路線を変更した結果PICにたどり着いたというわけです。

PICは入手性も高く、何しろ安価なのが大変な魅力。その代わり、mbedのような分かりやすさやハードを隠蔽するような仕組みはなく、ひたすら自力で低レベルのハード設定を行う必要が有ります。

ここ1ヶ月、PICの開発環境の導入や、ライブラリなどの探索、関連部品の調達、そして実際に動かしてみて試行錯誤を繰り返しながら、ついにLチカ、USB MIDIの出力、I2Cでの通信に成功しました!

ということで、実物をお見せいたしましょう。


黄色の矢印で示している緑色の基板に載っているチップがPICです。
今回はPIC18F14K50というマイコンを使用しています。
これが、RAM:768byte、Flash ROM:8KBのメモリを内蔵している超カワイイ組み込みマイコンなのです。

ギガバイトとかメガバイトとかじゃないですからね。ただのバイト、ただのキロバイトなのです。もうパソコンから見たらゴミのようなメモリ容量です。

この20pinのチップの中にUSBやI2C、AD変換、IOポートなどの周辺機能が入っています。
左隣の赤い物体は、PICkit3といって、PIC内蔵のFlashROMにプログラムを書き込む道具です。PC上のIDEでプログラム開発をして、コンパイルしてバイナリ化した実行プログラムをこの赤い道具でPICに転送し書き込むわけです。

現在、上記のブレッドボード上でプログラム開発をしていますが、ある程度電子部品の動作が確認できたところで、新しいMagicFluteの試作を始める予定です。

2014年12月12日金曜日

「作る」の未来 –今足りないもの–

以前このタイトルの記事を書いたとき、個人が趣味で何か「作る」ことに対して、まだまだ社会との交点とか、生業としての可能性みたいなことを語るのは時期尚早だと思っていました。

しかし、最近のMaker Movement関連で作られた具体的な事例を知るほど、まだまだ私たちの生活が便利になる小物は意外とたくさんあるものだと思い知らされます。

例えば、「スマート座布団」なるものを作った方がいます。
座布団の中にセンサーを入れて、どの座布団に実際に人が座っているかをリアルタイムで知ることができるシステムです。飲食店で使うことによって、お客の在席状況もわかりますし、1日の統計を取れば、客あたりの滞在時間や、一人で来たか、連れで来たか、といったことも多少の推測は可能でしょう。
飲食店でなくても、図書館とか、銀行や病院の待合室とか、そういう場所に設置したらどのようなデータが取れるか考えてみると面白そうです。

また、ある人は職場のトイレのドアにセンサーを付けて、今トイレに人がいるかどうかを自分の席で分かるシステムを作ったそうです。
あらかじめ現在のトイレの使用状況が分かると、トイレに行っても空いてない、ということはなくなります。
ただ、このデータのログを取って解析するのはあまり気は進みませんが・・・

これらの事例より、我々の生活の至る所にセンサーを付けることによって、まだまだ日々の暮らしが快適になる可能性はあります。
今までこのようなセンサーは個人で買うのは割高だし、痒いところに手が届くような機能も付いていませんでした。BtoB向けになると数量も出ないでしょうからカスタマイズも難しく、自分で好きな統計を取ることもままなりませんでした。

しかし、こういったセンサーと情報収集の仕組みと情報解析の仕組みを組み合わせることが技術的に簡単になれば、こういうシステムを構築できる人も増えてきます。最初は、個人の趣味で始めたことも、ビジネスになると分かれば、それを職業にする人も出てくるでしょう。そしてこれから、こういったシステムを個別最適に作ってくれる小さな個人事業がたくさん出てくるかもしれません。

センサーと情報収集や解析の仕組みからもう少し飛躍して、社会的に起こりそうなことを考えてみましょう。
例えば、近いうちにコンビニや各種店舗が無人化されるかもしれません。その場合にも、無人化を可能にするような各種デバイス(個人認証で入れる自動ドアとか)が開発されることによって、いろいろな特殊用途の無人化システムが作られることでしょう。
また、車の自動運転が一般的になれば、まずは人を運ばない運送のような業務から自動運転が始まるような気がします。それまでに、自動運転に関わるセンサーやパーツが部品化され、広くその図面が公開されれば多くの人がそれを使ったシステムを設計しやすくなります。
起こりそうな大きな技術とそれに付随する技術を考えてみると、今無いものを想像するきっかけになりそうです。


今足りない何かを考えてみましょう。
それは例えば生活のほんの一部をちょっとだけ便利にしてくれるようなものです。
そういうものが、気軽に作れる環境が整って来れば、「作る」ことがようやく生業になる可能性が出てくる気がするのです。

2014年11月26日水曜日

Maker Faire Tokyo 2014に行ってきた

昨年に続いて今年もMaker Faire Tokyoを見にいきました。
ということで写真で色々紹介。


これは、ハンダを使わなくてもプリンタで回路をプリントでき、抵抗などの部品をセロテーブで貼れば、電子回路が出来てしまうという展示。
未来を感じさせる技術です。


これは家庭内のリモコンをiPhoneに集約してしまうためのデバイス。赤外線のパターンを覚えさせ、wifiでiPhoneから赤外線リモコンの命令を出します。すでに販売をされているみたい。


写真ではよく分からないですが、車輪のスポークにLEDをたくさんつけて、タイヤが回転すると絵が浮かんでくるというガジェット。
人の目の残像現象を使っているので、カメラで撮ると絵にならないのです。

この場にいたBit Trade Oneの代表の方とも初めてお会いすることが出来ました。Bit Trade Oneからは、いろいろな電子デバイスを購入してお世話になってます。


展示のいたるところにあったRapiroですが、この方が本家、Rapiro開発者。Kick Starterでの経験などいろいろお話を伺いました。


自分の好きな場所にスライダーやノブ、スイッチを配置して使うMIDI Controller。DJ系を意識していると思いますが、デザインなどもカッコよくて、いろいろな用途に使えるかも。


パワードスーツみたいな感じだけど、電気は使っていないらしいです。自分の指の動きどおりにロボットの指が動きます。


大垣で会った原田さんのマーブルマシンとLEDバッジ。今回はLEDバッジを購入しました。


光ファイバーを高速で回すと、まるでロクロで陶芸を作っているような、面白いガジェットが出来ます。これは見ていて飽きない感じ。


イベント会場で、明和電機のライブがあったので見にいきました。
久しぶりに明和電気を堪能。確かに、彼らはMakerの走りなんですね。これ以上ない、ゲストだと思いました。

何しろ面白いアイデアの数々で刺激を受けました。
会場には歩くのも苦労するくらいの入場者が入り、本当に大盛況です。
Maker Movementがマニアのものから、社会現象になるのももう少しではないか、という気がしてきました。
来年こそ、出展したい・・・

2014年11月21日金曜日

筐体の3Dプリントが完成

前回の筐体デザインのデータをDMMの3Dプリントサービスで作ってもらいました。
最近、DMMがMakers Movementの後押しをするようなサービスをいくつか展開しており、その動向に目が離せません。私もすでに何回か、3Dプリントサービスを使っています。

今回は実際に3Dプリンタで出力した筐体について、紹介をしましょう。
ちなみに今回の試作品は私は内々にPROTO6と呼んでいます。MagicFluteの6回目の試作ということになります。

以下は、今回注文した全ての部品です。


このうち、吹き口とそれを密閉する蓋は、以下のような凹凸で合体するようになっています。


この中に気圧センサーを閉じ込めて、吹き口内部の空気圧をセンシングします。
吹き口の下部に小さい穴を開けて、吹いたら空気が抜けるようにしましたが、やや風切り音がうるさいのが気になりました。

笛のパイプは、中を覗くと、まさに中空のパイプ状になっています。この筒の厚さは3mmですが、意外と重量感があった印象。


この筒の中に電子部品が入ります。電子部品を取り付ける内部部品と、パイプを並べてみたところです。




笛の先端にはLEDが光る透明の尖った形状のキャップがつきます。

この笛の中に入る電子部品はまだ出来ていませんが、3Dプリントされた部品のみ、合体してみるとこんな感じになります。





組み上げると思っているよりやや大きな感じになりました。
電子部品まで入れた完動品が出来上がるのは、もう少し先のことになりそうです。


2014年11月12日水曜日

Magic Fluteの筐体デザイン

Magic Fluteの新筐体を3D CADでデザイン中。

CADはまだまだ使いこなしているとは言い難いですが、何となく使っているうちに慣れてきました。自分なりの使い方が確立してきた感じです。

というわけで、ここ数日作っていた新筐体のデザインをお見せしましょう。
まずは、リコーダータイプ。



余計な部品も周辺に置いてありますが、それは無視していただいて、一番端にある細長いのが楽器本体。
指で押さえる6つの穴は、円筒に凹みをつけています。リコーダーの先端が丸くなっており、ここがLEDで光ります。


次はオカリナタイプ。


本物のオカリナはもっとズングリしていますが、上のリコーダータイプと共通のデザインとなるようにした結果、随分スリムな感じのオカリナとなっています。
これも、右手側の先端の丸いところがLEDで光る予定。

全長は20cm強くらいの長さとなります。筒の直径は4cm。
円筒のところはいつか木で作れたらかっこいいなと思っていますが、ちょっと加工が難しそうですね。
ということで、次回の試作は、上記のデザインで製作予定です。

2014年11月3日月曜日

mbed用CPUでMIDI出力する基板作成

さて、今回はMagic Fluteの試作の報告。

ただいまRaspberry Piによるソフトシンセ発音版の試作をいったん止めて、mbedで使用しているCPUによるMIDI出力版の試作品を製作中。

これはどういうものかというと、これまでのMagic Fluteの機能はそのままに、その演奏情報をMIDI出力し、既存の電子楽器の音で発音させようというもの。
ですので、MIDIの受け手の電子楽器で音色を変えて、トランペットにしたり、クラリネットにしたり、フルートにしたり、といったことが可能となるわけです。また、リバーブなどのエフェクトをかけることも出来るので、すでに電子楽器を持っている人ならば、すぐに多彩な楽しみ方で演奏することが出来ます。

今までRaspberry Piに繋げていた配線を以下の基板に繋げます。


ちなみにこの基板を配線するために書いた配線図はこんな感じ。(手書きでちょっと恥ずかしいけど・・・)


いろいろ配線は書いてありますが、機能的にはCPU(LPC1114)のシリアル出力をMIDI OUTに繋げ、Magic Fluteから送られてくるI2CをCPUに繋げているだけです。
MIDIが5V系で、CPUが3.3V系なので、いろいろと妙な回路が入っています。
フルカラーLEDはCPUのPWM出力に繋げてあり、Raspberry Pi版と同様、音階によってLEDの色が変化します。

Raspberry Piと違ってmbedのいいところは、何しろ電源入れたらすぐに動くこと。
Raspberry PiはLinuxが立ち上がるまでの時間がバカになりません。またLinux上でアプリを動かすので、組み込み的に使うにはアプリの自動起動のような仕組みが必要です。(私はまだやったことがないので、毎回キーボードからアプリを立ち上げています)

しかし、生粋の組み込みであるmbedは、電源入れたらいきなり立ち上がります。一般コンシューマー向けの商品はやっぱりこうでなくてはいけないと改めて思わされます。

さて、今後の展開としては、この回路を何とかして、Magic Fluteの楽器筐体内部に詰め込み、楽器単体で使える形にすることを目指しています。