2010年5月6日木曜日

3Dテレビの微妙さ

この不況のさなか、電機メーカーでは3Dテレビが久しぶりに広く普及する大型電機製品になるのではないかと期待しているようです。3D映画が年末くらいから目白押しで、テレビ・新聞などでも大きく宣伝され、一般の方もこれからは3Dテレビが主流になるのかな、と何となく思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、どうしても私には3Dテレビが普及するとは思えないんです。
いや、2,3年くらいは多少は売れるかもしれません。しかし、10年くらいたって、そう言えばちょっと前に3Dテレビって流行ったよね〜みたいな、過去の遺物になりそうな気がします。

まず理由の一つには、映像の全てが3Dである必然性が感じられない、という点。テレビのニュースやバラエティが3Dでなきゃいけない理由はないと思います。映画でも「おくりびと」とか3Dで観たいでしょうか。「髪結いの亭主」のようなフランス映画なんか、逆に興ざめじゃないでしょうか(別の意味で3Dで観たい?)。
次に、制作コストがアップするという点。映画も番組制作も、制作経費が安い方が良いに決まっています。「アバター」は超有名監督が長い年月をかけ、満を持して問いかけた作品です。そういうのと、その他大勢な作品を比べてはいけません。制作費がかかれば、コンテンツも増えないでしょう。3Dコンテンツが巷に増えなければ、テレビを買っても宝の持ち腐れ。ハードがあってもソフトが無い、みたいな事態になりかねません。
三つ目、専用メガネをかける煩わしさは、少なくとも女性の評判は悪そうです。こういうのって男は好きなんでしょうがね。裸眼で観て映像がぶれているテレビは、不特定多数が観るような場所では全く使えません。
最後に、そもそもこの商品、あまりにハードを売りたいメーカーの気持ちが全面に出た商品に見えます。テレビ放送側の対応はどうなるのでしょう。放送局は全部3D用カメラに買い換えですか。それともテレビを買った人は朝から晩までアバターしか観ないんでしょうか。

いずれにしても、私たちの映像芸術への鑑識眼が問われていると思うのです。
3Dであることで初めて成り立つ映像芸術があって、3Dの存在意義が生まれます。アバターはそれに大きく近づいた作品でした。しかし、それには多大な経費と類い希な才能が必要です。テーマパークのアトラクションならともかく、3Dでなくていいものを3Dにしたって、そこには価値は生まれません。
私には、3Dテレビが、4チャンネルステレオとか、5.1chのAVアンプのように一部の好事家の楽しみで終わるような気がしてならないのです。

2 件のコメント:

  1. 私も3Dテレビはさほど普及しないと思います。
    かつてのDATのような運命を辿るのでは?

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  2. どろ美さま、どうも。
    DATを持っていた私としては、同じと言われるとやや悲しいですが、消えゆく技術ということでは、まあそうなのかもしれませんね。

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