「反射」などというとすごく物理的で、興味を感じないかもしれません。しかし、実は音楽的効果として無視できないものです。
音の小さい状態ということで無響室の話を書きました。
無響室とは音の反射を極限まで減らした部屋のことです。壁中に吸音材が貼ってあります。この状態で、すぐ隣の人と会話しても、恐ろしく小さな声しか聞こえないのです。そのような経験をすると、私たちが日常、どれだけ音の反射の中で暮らしているか驚かされるのです。
音がどれだけ良く反射するかは、反射面の材質や形状などで決まります。
もちろん真っ平らで硬そうな壁は良く音を反射します。例えば、コンクリートとか、石、煉瓦などですね。一方、綿、スポンジ、グラスウールのように密度が薄く、中に空気をたくさん含んでいるものは音を良く吸収します。
また反射の度合いは周波数によっても変わります。
高周波まできっちり反射する壁に囲まれた空間では、音がシャカシャカするでしょうし、高周波をあまり反射せず低周波しか反射しない空間では、音はモアモアします。
音の反射の最も分かり易い例は、山びこです。「ヤッホー」といったら、「ヤッホー」と返ってくるアレ。
しかし、実際の反射の現象はもっと複雑です。閉ざされた空間だと、音は何度も反射するからです。何度も何度も反射した結果、私たちの耳には音の残響として聞こえてきます。つまり残響とは、音の反射が大量に重なった結果起こるものなのです。
当然、音が反射しやすい壁で、なおかつ大きな空間では、残響時間が長くなります。ちなみに大きな空間、というのはどこかの寸法が長いだけで十分です。例えば教会は人の座る面積がそれほど広くなくても、天井が高いことが多いので非常に残響が長くなるのです。
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