2010年10月18日月曜日

十三人の刺客

三池崇史監督、ベネチア映画祭で評判だったという「十三人の刺客」を観に行きました。
内容は、明石藩の暴君を暗殺するために結成された十三人の刺客と、それを守る家来との戦いを描いたもの。後半の1時間にわたるチャンバラアクションシーンがこの映画のウリです。
外国の映画祭で評判だったように、確かにこれは、時代劇なのに邦画離れした映画。普通に売れ線を狙って作られた映画とは一線を画します。私が行ったとき、レイトショーで男4人しか観客いなかったし。(at浜松ザザTOHOシネマズ)

どんなところが邦画離れしているかというと、北野武ばりの暴力や残虐シーン満載。切腹も首切りも、血しぶきも、その他おどろおどろしいシーンも写実的でリアル。というか、今やこういう暴力シーンは海外から見ると日本のお家芸らしい。売れ線ではそんな映画全然無いんですけどねぇ。
それから、ストーリーの容赦無さも売れ線映画とは一線を画します。嘘くさい正義感とか、よい子的なスローガン連呼(愛する人のために云々など)のような甘いセリフは一切無し。つまらない優しさも無し。どこまでも、リアルな人間描写。そしてリアルな生活感や、人、モノの汚さ。こういうところはやや洋画っぽくてちょっと嬉しかった。
時にややバカバカしいシーンを挟みつつも、全体を覆う、硬派なリアルさの追求は賞賛すべきことだと思いました。

しかし、それにしてもSMAP稲垣吾郎をここまでの汚れ役で使ったのはすごいです。もうジャニーズってSMAPの出る映画まで口は出さないのかなあ。この悪役ぶりは見事ですよ。
それから、村全体を戦場として仕掛けるのは面白かった。しかし仕掛けが派手な割には、敵へのダメージが少ないように見えたのは流れ上仕方ないのでしょうか。もう少し、互角になるところまで敵が減った方が、戦闘としてリアルな感じがします。
あと個人的には、無意味に不死身な伊勢谷のキャラは今ひとつ馴染めませんでした。シリアスな物語の中でどんな役回りをしていたのか、どうも分かりづらいのです。

基本的には、女性やお子様にはお奨めできません。男が一人で見る映画です。野蛮な題材ですが、シンプルな道徳観によるストーリー展開が心地よい映画でもありました。

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