今、太田肇氏の著作を何冊か読んでいます。
人間の心理を元に組織をどのように作っていくべきか、について考察し、何冊か本を書かれている人です。詳細については、また別途書籍の紹介をしようと思いますが、今回はそのネタを元に、合唱団という組織について考えてみましょう。
私の見るところ、合唱団員に自発性のある人は少なく、確かに指導者の言うことは良く聞くのだけれど、それ以上の表現意欲を見せてくれない、という雰囲気を感じることは多いです。
こういう状態に対して、指導する側は「もっと表情豊かに、楽しそうに歌って」とか、ついつい言ってしまうのだけれど、そう言われてみんなが楽しそうになるのなら苦労は要りません。結局は、指導する側の注意も徒労と終わってしまうものです。
ところが、合唱コンクールなどでもう少しいろいろな合唱団を見てみると、上手な合唱団ほど楽しそうに歌っているし、表情も生き生きしているように感じるのです。それを聞いて、なぜウチは楽しそうに歌えないんだろう、と思い、演奏が上手くなくてもせめて楽しそうに歌えればいいのに、と指導する人は思います。
しかし、上手いからこそ楽しそうに歌えるのでは、と私には思えるのです。
これはどちらが先なのかは分かりません。しかし、表現意欲と、実際の演奏レベルの高さはある程度比例しているように思えます。
恐らく、それは団にある程度実力があることが団員の自負心となり、そのように世間から認められることが彼らをさらにやる気に駆り立てるのだと思います。いわば正のスパイラルが生じているわけです。
組織が生き生きとし活性化するには、そこに所属する人のモチベーションを高める仕組みが必要です。太田氏によると、そのためには個人は他人から認められるという「承認」が必要であると説きます。
すごく単純に言い換えてしまうと、個人がその団に所属して、合唱を続けるためのある種の優越感みたいなものを与える必要があるのだと思うのです。
団員が「優越感」を感じるのはどんな時でしょう。
一つは、団内で他の人より上手いと思う優越感。もう一つは、団そのものが他の団より実力が高いという優越感が考えられます。
上の二つをうまく使い分けるなら、団内の何人かの核になる力のある人には、あなたが団を引っ張っているという優越感を与え、団員全体に対しては、ウチはヨソとは違うんだという優越感を与えていくのが組織論的にうまい指導のやり方ではないでしょうか。
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