2010年8月26日木曜日

指揮者と合唱団の関係 その2

指揮者と合唱団の音楽性の違いについて考えてみましょう。
同じような年代の集まりとか、学生であるとか、逆に特定のジャンルしか歌わないとか、合唱団にはいろいろなタイプがあります。またそのような属性で合唱団の音楽性は変わってくるものです。例えば、古楽を中心に歌っている合唱団に、ピアノ伴奏の邦人合唱曲を歌わせても面白く感じない人は多いことでしょう。逆にピアノ伴奏が普通だと思っている人は、アカペラに異常に拒否反応を示したりします。
同じように、指揮者にもいろいろなタイプがいます。合唱連盟の中枢にいる有名指揮者、吹奏楽と兼任している音楽の先生、オペラ専門の声楽家、元々ピアニストなどなど。そういった出自によって、指揮者の音楽的傾向も異なるはず。

そういったもろもろの音楽性の要素をベクトルで表現してみましょう。音楽性をm次元のベクトルMで表現するものとします。合唱団の音楽性は各団員の音楽性の総和です。各団員の音楽性は、an×Mnで表すものとします。aは、ベクトルの強さ、すなわち影響度の大きさとでもいいましょうか。
合唱団は指揮者(指導者)があって初めて成り立つものとすると、合唱団全体の音楽の方向性は、指揮者の方向性と合唱団の方向性を足したものになります。
以上の状況を図に示してみます。
Cond
指揮者の影響度acと各団員の影響度anは、重みはだいぶ違います。指揮者は前に立って、指導するので、団員一人一人の影響度よりはるかに大きな値になるはずです。

そのような前提で考えてみると、合唱団と指揮者の関係として、上図の1,2,3のような状況が考えつきます。
1は、合唱団の音楽性と指揮者の音楽性が非常に近い位置にあります。そのため、二つのベクトルが合わさって非常に強い音楽的効果を生むことが予想できます。
2は、合唱団の音楽性が弱い場合です。これは個々の団員にそれほど明確な音楽性が無いか、団員の指向性がバラバラな状態であると考えられます。このような団体では、指揮者の音楽的影響が強く表れ、合唱団が指揮者色に染められていくことでしょう。
さて、最悪なのは3のパターン。合唱団は比較的明確な音楽性を持っていますが、このベクトルが指揮者のベクトルとかなり違う方向を向いています。結果的に二つのベクトルを足し合わせたものは、誰もが望まない、しかもレベルの低いものになってしまう可能性があります。早晩、この関係は破綻するかもしれません。

もちろん、ベクトルの各次元の要素は何?とか、そういう細かいことは検討していません。純粋に概念的な思考です。しかし、ここに具体的なパラメータを入れて計測してみると、学術的に面白いデータが得られるかもしれません。

2 件のコメント:

  1. あはは。理系ですね。数式、しかもベクトル式が使われている(^_^)。
    我々(理系の教育を受けた、という意味)からしたら、ものすごく簡単で言葉で表すよりもよほど効率的に物事を伝えることができると思われる式ですが、文系の人は式が出てくるだけで拒否反応を示す人もいるので、けっこう使い方が難しいんですよね・・・

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  2. Mは正規化されて方向だけを示すとか、単位行列は何を示すのかとか、余計なことをしばらく考えていました。
    これでも、大学時代、多次元の行列で落ちこぼれてました。最近は、パターン認識を勉強しようと思ったら、再び行列に打ちのめされています。

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