では人の声はどうか?
人間は言葉を使ってコミュニケーションをします。言葉も音です。声は全て波形に記録することが可能です。でなきゃ、CDも携帯電話も人の声を伝えることが出来なくなってしまいます。
例えば「あ」と話したときと、「い」と話したときは、物理的に何が違っているのでしょう?
今までの話からいくと、当然これも音色の違いであり、倍音成分が違っていると考えられます。実際のところ、大まかに言えばそれは間違ってはいません。
母音や子音などの各音素は、それぞれの周波数成分が違っていて、それで人は言葉を認識できるのです。
人の声は、まず声帯が鳴っているか、いないかで大きく分かれます。
声帯が鳴っている音を有声音、鳴っていない音を無声音と言います。有声音にはピッチがあります。無声音にはピッチがありません。
ピッチが無い、というのは波形に周期性が無く、明瞭な倍音が現れないということです。簡単に言えばノイズのようなものです。通常に話している場合では、子音の一部がこの状態になります。
ここでは、音楽に関わる音と言うことでピッチのある有声音について考えてみましょう。
有声音は当然倍音が現れます。母音毎にその倍音の現れ方が違います。調べてみると、「あ」は倍音が多く、「う」は逆に非常に倍音が少ないことがわかります。
<図18-1 筆者の「あ」の声>
<図18-2 筆者の「う」の声>
上のグラフは私がマイクで「あー」「うー」とEくらいの音程で歌ったときのスペクトルです。グラフ中のとんがった部分が倍音。「あ」と「う」では各倍音の量が違っていることが分かります。
では、単純に何倍音が含まれている、という法則で母音の判断がされている、というと実はそうでもないのです。
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