音の物理的な話をする前に、ちょっとばかり数字に慣れてもらうため、音楽の中に潜む数学的感覚の例として、テンポのことを書いてみようと思います。
曲のテンポ指定がメトロノームの数値で指示されている場合があります。
ポップスではこの値をBPMとも呼びます。Beats Per Minuteの略なのですが、この言葉がまさにテンポ表記の数値の定義を表しています。つまり、テンポの数値は一分間のビート数を表しているのです。
まあ、通常は数値の定義を知らなくても、72ならばこのくらいの速さ、112ならばこのくらいの速さ、という感じで感覚的に捉えている人が大半でありましょう。
なので、楽譜にテンポの明確な数値が書いてあっても、実際のところそれは努力目標でしかなく、実演奏においてメトロノームまで使って完璧に合わせる人は普通いません。そういう意味では、結構微妙な楽譜表記だと思ったりします。
テンポと小節数と拍子がわかると、おおまかに曲の長さが分かります。
テンポ90で、4拍子、全体で45小節の曲があったとします。この曲全体の拍数は45×4=180で180拍。これを90で割ると2になります。従って、この曲はおおよそ2分くらいの演奏時間だということが分かります。
昔学校で習った「距離=速さ×時間」というのに良く似ています。
上と同じ書き方をするなら「曲全体の拍数=テンポ×演奏時間」といったところでしょうか。「曲全体の拍数」とは 拍子×小節数 なので、下の公式が導かれます。
演奏時間=(拍子×小節数)÷テンポ
JASRACに申請するとき演奏時間を書く必要がありますが、いちいち演奏しなくても、楽譜通りのテンポで演奏していれば、計算でも求めることが出来るのです。
ただし、ここでの時間単位は分なので、小数点以下を秒に換算するのがやや面倒かもしれません。
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