2007年12月9日日曜日

楽譜を読む-狩俣ぬくいちゃ

久しぶりの「楽譜を読む」シリーズ。以前はこんな曲を書きましたっけ。

今回は、コンクールで今盛んに演奏されている「狩俣ぬくいちゃ」。実は私、明日演奏します。これで多分、演奏するのは最後です。ちょっとだけほっとしています。
まあ読むといっても、楽譜どおりにまずは頑張ってやるしかないわけですが、あらためて曲全体を見直してみるとかなり欲張りな音楽に思えてきます。
単に手拍子、足踏みがあるという意味ではなく、求められる効果が非常に多彩で、アカペラでありながらシンフォニックな音響を指向している感じがします。同タイミングに違う要素のものが詰まっており、おかげでパートのdiv.も多くなります。
また、もう一つのポイントは、微小な単位でのポリフォニーが多いという点。このテンポで、一拍単位のパートずれがかなり多用されます。この辺りは曲を立体的に見せるために大いに工夫したい箇所です。

和声的には、沖縄のスケールをしかもポリフォニックに処理するため、むしろ機能和声的な側面を敢えて抑えていて、そのあたりがとてもいい効果を上げています(4度堆積のハーモニーにもちょっと注目)。
ですから、全体的にはハモる、ハモらない、にこだわるより、旋律の力強さでぐいぐい押し通すのが、恐らく正しい演奏なのでは、と感じます。ただしよく出てくる五度のハモリにはこだわるべきでしょう。

問題の終盤、ここでの手拍子、足踏みは、もはや作曲者による演奏者へのイジメのようなもので、おおよそ演奏し易さを考えたものではありませんが、それがコンクールという世界観の中では、ある種の達成感を感じさせる要素にもなっているのでしょう。
個人的にはこの箇所、不必要に難しい気がしますが、夏に聞いた名古屋少年少女合唱団の狩俣を聞いて、工夫すればこんなにも面白い演出が出来るんだと、別の意味でこの音楽の可能性を感じました。
むしろここは、楽譜からどの程度まで離れて、演奏者のセンスを光らせるかが試されているのかもしれません。


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