2007年6月17日日曜日

いい音楽と面白い音楽のはざ間

何に対して、「いい」というか人によって違うとしても、一般的に芸術性の高さを感じるものと、単純に面白いと感じるものには、どこかベクトルの違いがあるのでしょう。
私などは、このベクトルをいかに合わせるか、ということを考えてしまうのですが、一般的には「芸術性の高さ」というベクトルだけに注目して、それを追い求めることが崇高な活動である、と考えている人が多いと思います。このあたりが「聴いて面白くない」に繋がる遠因とも私には思えます。

もちろん、現実にはそのベクトルが決して合わないというのは確か。バッハを演奏して、そのスゴさを体感したとしても、世の多くの人はほとんどそんなものには興味がないのが現実。精緻な対位法で書かれた音楽を聴いたって、そういった技法と無縁の人にとっては、みんなが別々の旋律を奏でていてさっぱりわからない、ということにもなりかねません。
芸術性の高さ、というのは、わかるからこそ面白くなる、という要素は確実にあります。
だからこそ、クラシック音楽に関わる人は、芸術性の高さ、というベクトルにとかく拘ることになります。それは、往々にして聴衆に対する啓蒙的な態度として現れます。でも、それって、学校教育で道徳を強化していきましょう、という議論の胡散臭さに何か通じるものを感じます。

昨今、世の中が効率化するに従い、芸術性の高さを追い求める行為と、単純に気持ちよく感じる音楽を演奏することがますます乖離しているように思います。気が付くと、どちらも何か違う、という感じがしてしまうのです。
私の求めているものは、つねにそのベクトルの中間のような位置にあるのですが、それは逆にどちらからも受け入れられない、ということにもなりかねなくて、益々悩みは深まります・・・

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