2006年6月23日金曜日

アマテラス/坂東玉三郎・鼓童

昨日、京都南座で公演中の、坂東玉三郎と鼓童のコラボレーションによる「アマテラス」を観てきました。とりあえず、なんで平日の昼に京都にいるのという疑問はスルーしてください。
以前こんな話題を書いたのですが、それ以来なかなか鼓童のコンサートには行く機会がなくて、実は今回がついに初めての鼓童体験となったわけです。
それも、2年前にテレビで見たときと同じ、坂東玉三郎とのコラボレーション。そして、題材が日本神話によるものと、気になる要素がいっぱい。これは何としても見てみたいと思ったわけです。

で、やはり想像を違わぬ素晴らしい公演でした。
生で聞く和太鼓の迫力もさることながら、彼らの卓越した打楽器アンサンブル能力、そしてアマテラスのストーリーの面白さ、それを和太鼓と踊りのみで表現するその方法、演出上の様々な工夫、演奏だけでない鼓動のメンバーの演技力、これら一つ一つが印象深く、全く新しい芸術空間を表出していました。
この公演は、単なる音楽の演奏ではありません。しかし、演技はあるけどセリフがないので、芝居とも言い切れないのです。基本的には、打楽器を中心とした音楽は常に鳴り続けていて、それに合わせて、役付きの人たちが演技あるいは踊りを踊る、といった感じのステージです。
舞台装置は、演劇のような明確なセットがあるわけでなく、オペラの前衛的演出のような、抽象的、象徴的な簡素なモノでした。そういう意味では、一般受けする大衆的な舞台芸術とは一線を画しているかもしれません。

アマテラスのストーリーは、いわゆる天の岩屋戸の神話をモチーフにしたものです。玉三郎はもちろんアマテラス役。個人的に面白かったのは、アマテラスとスサノオの兄弟の会話のようなやり取りを打楽器だけで表現したところ。会話の調子やその雰囲気を、会話の具体的内容抜きに、踊りと音楽のみで表現し、結果的にスサノオがアマテラスの言うことを聞かなかった様子をとても良く表していました。音楽の表現方法の一つとして、興味深いものを感じました。
実演の鼓童を聞いて、ますます鼓童ファンになりました。また機会があれば見に行きたいです。


0 件のコメント:

コメントを投稿