2012年3月18日日曜日

マジメに電子楽譜について考えてみるー新しい楽譜の買い方


ずっと電子楽譜のハードウェアの話をしてきました。
この辺りから、私の専門のソフトウェアの話を書いてみます。

ソフトウェアと言っても、この電子楽譜の機能についてではありません。機能についてはまた別途機会を設けますが、むしろ大事なのは楽譜の入手とこの機器への入力方法です。
そんなの、楽譜の画像をグラフィック用のファイルか、PDFにしてUSBで転送すればいいじゃん、と言って話を終える人もいるかもしれません。多分多くの人はそういう感覚を持っていると思います。

しかし私は電子楽譜にとってむしろ一番大事なのが、この部分ではないかと考えています。
なぜなら、ここにはとてつもないプラットフォームビジネスの芽があるからです。それは一言で言えば、iPodとiTunesでAppleが確立した方法です。AppleはiPodを作り、たくさんの音楽を持ち運べるようにしました。iTunesを使って手持ちのCDをPCにリッピングし、それをまとめてiPodに送るようにしたのです。そこまでならそれほど大きな話ではありませんでした。
しかし、次にAppleはiTunesの中にオンラインのレコードショップを作りました。多くのレコード会社がそれに参加し、iTunes Storeで音楽を電子のまま購入することが可能になりました。確かに、CDの質感とか、リーフレットとか、モノを持っているという満足感は得られませんが、聴ければ十分という人たちのニーズは確実に満たせたわけです。
そして今では、iTunes StoreはアメリカでNo.1の音楽小売りショップとなってしまいました。

もちろん、上記のことはご存知の方も多いことでしょう。では、これと同じことを電子楽譜で出来ないものでしょうか。
つまり、楽譜をスキャンしてPDF化する(リッピングする)ソフトや、そのような楽譜データをまとめて電子楽譜に送るようなPC上のソフトを作ります。そして、そのソフト内にて、オンラインの楽譜ショップを作るわけです。
もちろん本当にそれを実現しようと思ったら、多くの音楽出版社に電子楽譜を売りませんか、という交渉をしなければなりません。これは、世界規模でやろうと思ったら簡単な話ではありません。
しかし、楽譜は一般書籍と違ってそれほど数が出るわけではないけれど、長い間売れ続けるというタイプの商品です。合唱のように団単位で同じものがどっさり売れるというのはレアケースで(そのため合唱は楽譜のコピーが多いのですが・・・)、個人が楽器の練習用に買うケースがほとんど。またオーケストラであればパート譜をレンタルで、というような形でしか演奏用の楽譜を入手出来なかったりします。

このような状況においては、楽譜出版社にとって、楽譜を電子化するのはむしろ大変嬉しいことだと思うのです。
何しろ印刷楽譜の在庫を持たなくていいのです。そのくせ、電子データは将来にわたって売れる可能性がありますから、一度版下さえ作れば、その後は大きなコストがかからずに売り上げが入ることになるのです。
もっともこれは楽譜ビジネスを良く知らない、一技術者のたわごとなので、もしかしたらそんな単純な話ではないかもしれませんが・・・

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