2012年3月5日月曜日

ヒューゴの不思議な発明


なんと半年も映画を観てなかったんです。すっかり映画から離れた生活になってしまいました。
日曜日、急に映画を観たくなって、同時にやっている「TIME」とか「はやぶさ」も気になったけれど、歯車で動き出す機械の美しさに惹かれるようにヒューゴを選んでしまいました。
マーティン・ スコセッシ監督。アカデミー賞でもたくさんの部門賞を取った非常に高評価な映画だけあって、細部まで配慮がされている非常に完成度が高い映画。何でもないことなのに、出てくる人たちの心の動きがとても良く伝わってきて、何度も泣けてきます。

さて、大雑把にストーリーを説明すると、ヒューゴは父を亡くしたあと、叔父に連れられ駅の中に住みながら駅の時計を調整する仕事をしています。半分ホームレスのような少年。その少年が、父の形見である自動機械を直すために部品をくすねるのですが、それを知ったオモチャ屋に捕まるところから物語が始まります。
その後は、オモチャ屋の娘と仲良くなり、二人でまるで謎解きをしていくように、オモチャ屋夫妻の過去がだんだん明らかになっていく、という感じ。

何といっても、ロンドン駅の内側にある時計を動かすための機械たちが美しいのです。
表からは見えない薄暗い裏の世界。そこに無機質に並んだ歯車やゼンマイ、振り子。子供心がくすぐられるような壮大な秘密基地。そこを朝から晩まで縦横無尽に駆け巡るヒューゴは、貧しい少年ではあるけれど,多くの子供たちからみたら羨望の的でしょう。
この少年が生きている世界観を、この映画では実に美しく表現しています。時計台からみる街の夜景も美しい。それはこの少年しか観ることの出来ない絶景なのです。

それから、もう一つこの映画が面白いのは、映画そのものへの愛情に溢れているということ。
後半は実は映画黎明時の映画製作者の情熱を表現するシーンが多くなるのですが、CGや特殊技術がなかった時代にどのように面白い映像を作るのか、そういうことを創意工夫しながら考え続けることの面白さ、まさにエンジニアとしての喜びをうまく伝えていたように思うのです。
機械が自動に動くことへの飽くなき想いと、そのような創意工夫はエンジニア的な喜びの発露であり、そんな気持ちを余すところなく表現していたこの映画は、私のような人間にとってもう感涙ものです。

ちょっと大したことでは無いのだけど、冒頭オモチャ屋の主人が子供を捕まえる場面だとか、駅の公安員が子供を追いかけたりするところとか、子供であってもこのように厳しく対処する、というのはちょっと日本じゃないよな、というか、日本の映画じゃ無いよな、と感じました。
彼らは彼らなりに人間味に溢れているのに、悪いことに対して毅然とし、誰であっても職務を果たそうとする感じはヨーロッパ的な香りを感じたりしました。

実はこの映画、3D版もあったのですが、時間の関係もあって通常版にしてしまったのです。
後で考えると、妙に奥行きのある映像とか、汽車が迫ってきたりとか、背景が非常に広がりのある風景とかがあったので、3Dで観たらまたそれなりに気持ち良かったかもと思いました。
まぁ、アクション映画とかじゃないし、SFや壮大なファンタジーでもない、どちらかというとヒューマン系なので無理に3Dで観ることも無いわけですが。

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