2012年3月22日木曜日

マジメに電子楽譜について考えてみるーコピー制限について


音楽出版社を巻き込んで、オンラインの電子楽譜データショップが出来たら電子楽譜の存在意義も高まるでしょう。
その際、避けて通れない話題は買ったデータのコピー制限の問題です。

例えば、自分がショップで買ったデータがPDF書類だったとします。このPDF書類にコピープロテクトの仕組みが全くないと、人にタダでコピーしてあげることが可能になってしまいます。
もちろんこの話題は、もう10年以上に渡って議論されたことです。特に音楽配信については、厳格なコピー制限(DRM)をかけることが行なわれてきたのが、だんだんとDRMフリーの流れに変わってきています。また、機器に対する私的録音補償金精度と称して、著作権料を製品価格に上乗せするような仕組みもありますが、これに関しても補償金を払いたくないメーカーの抵抗で、十分に機能しているとは言い難い現状があります。

購入したデータのコピー問題というのは、そういう意味で大変根の深い難しい問題です。
しかしこの件を事前に解決しておかないと、出版社との交渉の際、理解を得ることは難しいと思います。
確かに世の流れは、DRMフリー、補償金フリーなのですが、電子楽譜という新しいハードウェアと新しいデータ市場に関していえば、まずはDRMのような仕組みを作るべきだと考えます。

その理由は、まず楽譜の市場はそれほど大きくないという点です。
音楽データや書籍は、ある人気商品が何十万、場合によっては何百万という単位で売れることがあります。しかし楽譜は万単位で売れることはまれだと思います。特に演奏の難しい楽譜になれば、その販売数は激減するはずです。このような大きさの市場においては、データの価格も多少高めにせざるを得ず、コピー可能であることは音楽出版社にとって死活問題であることが予想されます。
次に、類似商品の少なさです。これから初めて電子楽譜のハードウェアを作ろうとしているのですから(え、誰が?)、まずはそのハードウェアに最適化されたデータが売られるはずです。音楽みたいにステレオの音声が出ればいい、という単純な仕様ではありません。表示の形、ピクセル数、表示速度などハードの性能に合わせたデータ作りが必要になるかもしれません。音楽はどんな環境でも聴きたいと思うからDRMフリーが歓迎されますが、デバイスとデータが密接に紐付けされるのなら、DRMがかかっていても文句を言う人は少ないと思われます。
もちろんこの問題は、実際に端末が売られて数年後に顕著になる話です。DRMはまず対応しておいて、その後に問題が生じたら対策を考えるくらいでも良いかと思っています。

具体的なDRMの方法はどうすべきでしょうか。
これは少々技術的な話になりますが、購入されたデータが例えばPCを利用しても簡単にファイルとして抜き出せないようになっているのであれば、それでも良いと思います。
ただし、PCはやる気になればいくら隠してもファイルを見つけることは出来そうなので、その方法をやるなら少々工夫が必要かもしれません。
もう一つは、データを暗号化することです。暗号化を解除するためには個別のキーが必要になります。個別のキーを作るためにあまり面倒なことをユーザーに強いたくはありませんので、出来れば電子楽譜の機器に固有のIDを振りたいところです。
機器に固有IDを振るのは、製造工程にちょっとだけ負荷がかかりますが、暗号化する場合はそれが最もスマートなやり方のように思えます。

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